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野村不動産 物流に3年間で3400億投資へ 運用棟数60棟・累計延床面積365万㎡に
2025.06.10 15:24
野村不動産(東京都新宿区)が、今後の物流事業戦略を発表した。
2025年4月以降の3年間で総額約3400億円を投じ、全15棟(総延床面積約130万㎡)の事業化決定を公表。これにより2028年3月までの間に同社が手掛ける物流施設の開発・運用棟数の累計は60棟、累計の延床面積は約365万㎡になる見込み。
同社物流事業の2022~2024年度の投資額は10棟で約1300億円だったが、2025~2027年度は2・6倍となる15棟で約3400億円に増加。2031年度までの総投資額は累計約1・3兆円になる見込み。
新規開発では、消費地に近接し幹線道路が結節する「物流プライムエリア」での大型マルチテナント型物流施設の開発に注力する。また同社初の冷凍冷蔵倉庫や東北・九州エリアにおける棟数増加も予定。ドライ倉庫、冷凍倉庫、冷蔵倉庫などをフロアごとに用意するカテゴリーマルチの整備や、1000坪台の小規模区画や荷物量に合わせた賃貸区画の増減への対応など、柔軟なリーシングで幅広いニーズに応える。
同社の物流企業間共創プログラム「Techrum(テクラム)」も充実させる。同プログラムは物流効率アップを見据えた自動化・省人化を目的に、ロボティクスやICT、搬送機器など様々な技術を有する企業同士が連携してソリューションを開発・提案する取り組み。2025年3月現在の参画企業は115社、ソリューションの提案件数は153件にのぼり、2021プログラムの拠点である「習志野Techrum Hub」では実際の機器を用いたソリューションも体験できる。今後は拠点数の拡大も検討し、ソリューション提案数を増加させていく。
地域コミュニティ活動の促進による雇用創出や物流施設の魅力向上に寄与する取り組みも、今後さらに注力していく。2025年3月竣工の「Landport横浜杉田」では横浜市金沢区と防災協定を締結し、防災イベントの定期開催、屋上農園でのテナント企業間交流、地域の歴史樹木「杉田梅」の文化発信や保護活動などを行っているほか、今後竣工予定の「Landport東海大府Ⅰ・Ⅱ」、「Landport柏」、「Landport野田」などでも住民や自治体、商店などにヒアリングを実施し、地域に寄り添った設備を導入するための取り組みを行う。
また、2026年4月から一定規模以上の荷主企業に設置が義務付けられるCLO(物流統括管理者)を支援する「CLOサロン」を設立。CLOやCLO候補者などを集めて情報を共有し、物流人材を育成する企業を支える。
5月30日に行われた戦略発表会では、常務執行役で都市開発第二事業本部長の井戸規昭氏らが登壇。井戸氏は「今後も積極的に投資を行い、拡大する物流施設への需要に応える」と話し、物流業界の課題解決に貢献していく考えを示した。