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「淀屋橋ステーションワン」竣工 御堂筋の玄関口に新ランドマーク

2025.06.10 16:55
京阪ホールディングス(大阪市中央区)と中央日本土地建物(東京都千代田区)は、みずほ銀行(東京都千代田区)と共同で開発を進めてきた複合ビル「淀屋橋ステーションワン」が5月30日に竣工したと発表した。6月23日よりオフィスフロアの入居を順次開始し、商業ゾーンも同日に第1弾店舗がオープンする。
「淀屋橋ステーションワン」は、中央日本土地建物が所有する「日土地淀屋橋ビル」と京阪ホールディングスが所有する「京阪御堂筋ビル」を共同で建替えたもの。立地は大阪市中央区北浜。京阪電車・Osaka Metro御堂筋線「淀屋橋」駅と地下で直結する。
建物は敷地面積約3940㎡、延床面積7万3102㎡、鉄骨造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造)、地上31階地下3階。「御堂筋デザインガイドライン」に沿った建築デザインで、高さ約50mに軒線を形成して御堂筋の統一感ある景観を演出した。「Life Connecting Oasis.」という施設コンセプトに基づき御堂筋の景観と調和する外装材を採用するとともに、淀屋橋の歴史的素材を内装に取り入れた。こうした計画内容が評価され、国土交通大臣より「優良な民間都市再生事業計画」の認定を受けている。
建物の大半を占める賃貸オフィスフロアは4~6階と12~29階で、オフィス総面積は約3万9000㎡。3階にオフィスロビーを備える。基準階は約1600㎡の無柱空間を実現し、フレキシビリティと眺望を確保した。専有部内の窓枠に自然換気装置を設けたほか、エレベーターシャフト上部を活用したVOID空間(吹き抜け)内の換気により、執務空間にいながら屋外の新鮮な空気に触れることができる。また、高層階のVOID空間内の一部は、建物内でも光や風、緑が感じられるリフレッシュスペースとした。
「淀屋橋」駅と接続する地下1階から地上2階は、3層吹き抜けの立体多目的広場にして商業店舗を誘致。観光ステーションも整備し、駅利用者や観光客へ観光情報を提供・発信するほか、周辺地区と連携したイベントを実施する予定。
10~11階には、中央日本土地建物が運営するオープンイノベーションオフィス「SENQ」の国内7拠点目かつ関西エリア初拠点となる「SENQ淀屋橋」を開業。全18室のソロルーム、最大100名超を収容できるカンファレンスなどを設け、ビルの入居企業とSENQ会員との協業や、ワーカー同士、テナント同士のオープンイノベーションの機会を創出する。また、入居企業とSENQ会員が利用できるワーカーラウンジも用意する。
最上階(30階)は大阪の街並みを一望できる上質なフロアを創出。一般来館者も利用可能で、中之島や御堂筋の新しい観光・文化配信の機能を担う展望ホールやギャラリーを備える。今年秋ごろには新業態のレストラン2店舗が開業予定。
近隣の歩行者空間の改善にも取り組む。京阪電気鉄道(大阪府枚方市)と連携して「淀屋橋」駅と接続する地下通路を一体的にリニューアルするほか、地上部も十分な壁面後退を行い、快適でゆとりある歩行者空間を確保。歩道と一体となった空地ではイベント等を開催し、周辺地区との回遊性強化を図る計画としている。
環境負荷軽減にも配慮し、高性能外皮による熱負荷の低減や昼光センサーによる調光制御、高効率のコージェネレーションシステムによる排熱利用などを通じて、建物全体で省エネルギー化を実現。国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」に採択されたほか、「BELS」の5つ星、「ZEB Oriented」認証、「DBJ Green Building プラン認証」の5つ星を取得。施設内は再生可能エネルギー由来の電力を使用し、入居者は実質再エネ由来100%の環境価値のついた電力を利用できる。