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音声解析サービス「Phonoscape」提供開始 JR東日本スタートアップのプログラムにも採択
2025.06.02 14:13
Idein(東京都千代田区)は先月28日、対面接客の会話を専用端末を使って自動で収集・解析・文字起こしができるAIサービス「Phonoscape(フォノスケープ)」の提供を開始した。
Ideinは2015年設立。エッジAIやIoTプラットフォームの開発・運営を手掛けるActcast事業、ならびに共同研究開発事業を展開している。これまでに、AIソリューション開発企業向けのエッジAI開発プラットフォーム「Actcast」の展開を通じて、AIソリューションの社会実装に必要なインフラ部分の支援を行い、安価で大規模にAIカメラやAIマイク等を導入できる仕掛けづくりを担ってきた。エッジAIはデバイスや中間サーバーで階層的にAI処理を行う形式のため、プライバシー保護の観点等から需要が伸びているという。
今回発表した「Phonoscape」では、従来の音声認識技術では難しいとされてきたノイジーな場所において、スタッフと顧客の声を聞き分けてクリアに録音ができる。エッジデバイス上で「発話認識」のAI処理を行うことで、人間の会話を識別し、録音の開始・停止も全自動で実行する。文字起こしではOpenAI社の音声認識モデル「Whisper」を活用。音声データを全自動でテキスト化し、接客終了時におけるレポート作成の手間の大幅削減が見込める。
今年4月には、東日本旅客鉄道(東京都渋谷区)とJR東日本スタートアップ(東京都港区)が運営する「JR東日本スタートアッププログラム2024年秋」に採択されたことを発表。今後は「Phonoscape」等を導入し、窓口業務における駅員と利用者との会話の録音等への活用を想定しているという。
新サービス発表会の中で、Idein 代表取締役CEOの中村晃一氏は「音声解析AIに関しては、現状コールセンターへの導入が主です。対面解析はカスタマーハラスメントの対策や営業の業務改善、人材育成、マーケティングへの活用などユースケースも多様です。非常に有望なマーケットですので、まだまだこれから黎明期を迎えると考えています」と市場の拡大を見据えた。
不動産業界では仲介・売買の店舗接客において、ハイパフォーマンス分析や日報作成などに役立つことが期待されるという。