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「京急品川開発プロジェクト」本格始動 「(仮称)品川駅西口地区A地区新築計画」着工

2025.06.02 14:58
京浜急行電鉄(横浜市西区、京急)とトヨタ自動車(愛知県豊田市)は、「品川」駅周辺を開発する「京急品川開発プロジェクト」を本格始動し、「(仮称)品川駅西口地区A地区新築計画」を着工した。竣工は2029年を予定している。
計画地は東京都港区高輪。複合施設「シナガワグース」の跡地。
計画では敷地面積2万3584㎡、延床面積31万1802㎡、地上29階地下4階のビルを建設し、トヨタ自動車が新東京本社を開業。さらに国内最大級のフロア面積を持つオフィスや、都心最大規模のコンファレンスホール、人・モノ・技術が交わる交流拠点となる商業施設などを備える計画。
外観デザインは米国ニューヨークの建築設計事務所であるKPFが担当。東京湾から吹き込む風の道を確保するため建物の平面形状は台形とし、角部分には曲線を採用。立面は流れを感じられる形状で低層部に広がりを持たせ、近隣地域と「品川」駅を効果的につなぐ。また建物を囲うようにデッキ階以外の建築部分にも緑化を施し、建物の内部からも身近に緑を感じられる計画とする。
ライティングデザインを手掛けるのはシリウスライティングオフィス(東京都港区)。「品川」駅側(南東)は先進的な都市のイメージを、空へ上昇するような光で表現。港区立高輪森の公園側(北西)は自然を育む大地のイメージを下降しながら広がっていく光で体現する。ランドスケープデザインはプレイスメディア(東京都小平市)が担当する。緑量を確保し自然とにぎわいが共存する地域に開かれた屋外空間を整備し、緑に囲まれたベンチの設置などにより来訪者に憩いの場を提供。大規模なイベントを開催できる広場も備える。また、在来種を中心とした植栽計画や生物の生息空間を形成。敷地周辺の樹木を保存・再移植することで桜と石垣の風景を継承する。
環境対策としては、オフィス部分で「LEED BD+C:Core and Shell」のGOLDランクの取得を目指す。災害対策としては、電気・ガス途絶時における在館者や地域住民の滞在・使用を想定した一時滞在施設・スペースや防災備蓄倉庫の整備などを計画している。
「品川」駅周辺では、今回の開発以外にも多くの開発プロジェクトが進められている。京急では他の事業者や地域住民と力を合わせ、魅力ある新しいまちづくりを積極的に推進していく構え。また「品川」駅の地平化や駅付近における連続立体交差事業などを通じて鉄道アクセスの向上を図り、品川の価値向上と持続的な発展に貢献していくとしている。