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「BOOK HOTEL 物々語」6月オープン 宿泊料は”あなたの大切な物にまつわる物語”

2025.05.26 11:01

 日鉄興和不動産(東京都港区)は6月1日に、木造賃貸マンション「リビオメゾン大岡山」の1室に無料宿泊施設「BOOK HOTEL 物々語」をオープンする。
 「リビオメゾン大岡山」は、2月21日に竣工、3月16日より入居を開始。敷地面積657・65㎡、延床面積1491・01㎡、地上4階地下1階建てで、日鉄興和不動産初の木造賃貸マンションとなる。1~4階は枠組壁工法、地下1階はRC造。間取は1DK~2LDK。「ZEH-M Oriented」を取得し、屋上緑化を実現した「草屋根テラス」を提供する(宿泊利用者は「草屋根テラス」利用不可)。
 立地は東京都目黒区大岡山。東急目黒線「大岡山」駅から徒歩10分、東急東横線「都立大学」駅から徒歩12分。
 「BOOK HOTEL 物々語」は、日鉄興和不動産の総合研究所:Future Style総研が手掛ける無料宿泊施設。2021年に実施した「ONE LAB・CASE南砂町」に続き、第2弾の取り組みとなる。テーマは「頑張らないサステナブル」。宿泊料は無料だが、代わりに宿泊者の「大切だったけれど手放す時が来たもの」について、部屋に設置されたノートに書くことが求められる。
 事業を通じてサステナブルな住まいを提供してきたが、顧客のサステナブルな行動変容にもつなげていきたいという思いから本企画をスタート。今回着目したのは中古品の再利用。誰もがサステナブルの気軽な一歩を踏み出せるとともに、身近な人に語りたくなり、自然とサステナブルな行動の輪が広がっていく体験を目指すという。住宅事業本部開発推進部開発推進第一グループ兼カスタマーリレーション室リビオカスタマーサービスグループの山本瑞生氏は「物を大切に使い、時が来たら次の誰かに渡す。これも立派なサステナブルだったんだと思っていただきたいです」と意気込みを語った。
 室内には10名の作家が寄贈した中古品と、それにまつわる物語を綴ったZINE(小冊子)を展示する。ZINEとは雑誌(Magazine)が由来とされ、個人や少人数のグループが自由な手法で冊子にまとめた自主出版物のこと。室内にはZINEキットを設置しており、宿泊客が自分のZINEを作って持ち帰ることができる。山本氏は個人のストーリーを本の形にできることが魅力だとし、ZINEを読んでみたい・自分で書いてみたい人へのアピールを見込む。その他の設備についても以前モデルルームで利用していたものを再利用するなど、中古品で構成されている。
 多くの人に体験してもらうため1人1回限りの利用とし、連泊は不可。予約はWebで行い、事前に30分ほどのオンライン面談を行う。利用条件に同意した人のみに利用してもらうことで、本企画の意図を理解してもらいトラブル発生を回避する狙い。施設の運営は同社が行い、オンライン面談や清掃は外部の会社が行う。施設の運営は2年間の予定で、その後は修繕を行い、賃貸として利用するとしている。施設の目的を営利ではなくファンづくりとし、将来の顧客になり得る層に親しみを持ってもらうことを目指す。




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