週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

「プレンティ」全面リニューアル　神戸市西区のSC 多世代が利用できる空間に

2023.11.06 10:36

　第三セクターのこうべ未来都市機構（神戸市中央区）は１０月１９日、神戸市西区のショッピングセンター「プレンティ」を全面リニューアルオープンした。
　場所は神戸市営地下鉄西神・山手線「西神（せいしん）中央」駅前。市の都市ブランド向上と人口誘引につなげるプロジェクト「リノベーション・神戸」の「西神中央活性化プラン　～進化する上質なまち～」の一環で大規模リニューアルが進められてきた。１９８９年の開業以来、再開発として３４億円が投じられた。
　「プレンティ」内には、デジタルコンテンツを活用したキッズスペース「あそびのもり」、「まなびのうみ」を用意。子どもがクライミングウォールに登ったり、海中をイメージしたＣＧで遊べたりする空間を設置した。そのほか、乳幼児専用スペースや買い物途中に休憩ができるレストスペースを設け、子育て世帯が過ごしやすい工夫がなされた。ここでは、ワークショップや絵本の読み聞かせなどのイベントも実施する予定だという。さらに屋上には人工芝が張られ、子どもが走り回ることもできる。
　これまでフードコートのなかった西神エリアに、初のフードコートが誕生。４５０席からなり、子どもと利用できる小上がり席や、テラス席など用意している。また、「プレンティ」をはじめ沿線のショッピングセンターで利用できる「神戸ウェストメンバーズカード」のポイントアプリを導入し、利用者の利便性や満足度向上を図る。
　コワーキングスペースも設けられ、さまざまな世代を呼び込む。一方、環境への配慮として、商品展示台やテーブル、ベンチには、兵庫県産木材や六甲山木材、西区内の街路樹の伐採木などが活用されている。さらに、広場にある花壇では、下水からリンを効率的に回収して有効利用する神戸市独自の取り組み「こうべ再生リン」を利用した「こうべＳＤＧｓ肥料」が使用されている。
　産学連携の取り組みでは、神戸芸術工科大学（同）アート・クラフト学科の学生によるオブジェを作成。地域で出土品が多く発掘されることから「未知の遺跡」と題して常設展示される。プレンティ事業部長の島津昭弘氏は「老若男女問わず多世代が利用できる空間にした。まち、くらしの質を高め、プレンティのブランドの向上と人口誘引につなげたい」と話す。