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住人用に専用設計したOMO型カフェ 顧客データ・購買行動を分析 ニーズ意識の商品企画

2022.11.28 11:49

 favy(東京都新宿区)は今年8月、東京建物(東京都中央区)が保有する東京・有明のタワーマンション「Brillia Tower 有明 MID CROSS」1Fに、住人用に専用設計したOMO型カフェを開設。周辺地域における、活性化の一助となる運営を展開している。
 飲食区画のDX支援を行うfavyは、エンタープライズ向けサービスを提供している。商業施設やマンションなどでの店舗立ち上げから、デザイン設計、施工、テナントのリーシング、システム提供、実務型実装や運営までをワンストップで対応できることが強み。2018年からは「シェア型レストラン」という飲食区画を運営。自社の飲食直営店舗でのノウハウ、サブスクリプションの顧客管理によるデータドリブンでの知見をもとに運営している。また昨年からは鹿児島、仙台、大分、宮崎にある閉業してしまった「横丁」形式の飲食区画を、シェア型レストラン形式へフォーマットを変更。価値向上と再始動の支援を展開し、再生の成功事例として認知されてきた。
 今回のOMO型カフェは、これまでのDXノウハウを元に飲食店舗の立ち上げからデザイン設計、施工、テナントのリーシング、システム提供や運営等をワンストップで提供。空き物件/飲食店区画を活用したDX事業を提案し、店舗の開業から運営までの支援となった。カフェでは、同社の展開するサブスクリプションやモバイルオーダーを行う。サブスクリプションサービスは、月額3000円で毎日ドリップコーヒーが飲めること。モバイルオーダーは、店内商品が事前注文可能といった仕組みだ。顧客満足度の向上とカフェ利用の習慣化を実現し、顧客データや購買行動を分析することでニーズに対応する商品企画や顧客に合わせた最適な接客も提供できる。
 代表取締役社長の高梨巧氏は「更にこれらデジタルツールを導入するために最適な店舗デザインを設計し、顧客ニーズへ柔軟に対応する商品が提供可能なセントラルキッチンも保有しています。オンライン側とオフライン側で相互に改善を繰り返すことで、マンション居住者の体験の向上を目指していきます」とのこと。顧客ごとのデータを管理、顧客の利用頻度や嗜好を分析し、店舗スタッフが店舗でいつでも把握できる状態も同店舗の魅力だろう。
 周辺人口が減少してゆくエリアへのテナント誘致は、今後一層難しいことが想定される。店舗側も5年~10年は続くことを理想としているため、入居先は慎重に選ばざるをえない。双方のニーズを繋げて、地域貢献施設への貢献や人の賑わい形成の新たな見本と思われる。

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