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「九段会館テラス」竣工 旧九段会館の歴史的価値と最新テクノロジーを融合

2022.08.08 11:04

 東急不動産(東京都渋谷区)と鹿島建設(東京都港区)が開発していた「九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)」が竣工した。開業は今秋を予定している。
 同施設は、登録有形文化財建造物である旧九段会館を一部保存しながら建替えたもの。歴史的建造物の創建当時の貴重な技術を活かして保存・復原を行った保存部分と、お濠を臨みIoTを活用した最新鋭のオフィスとなる新築部分の新旧が融合した、レトロモダンな施設が誕生。
 同施設は敷地面積約8765㎡、延床面積6万8036㎡、S造(CFT造)・RC造・SRC造地上17階地下3階建ての複合施設。  帝冠様式を最も表している建物北側と東側部分はL字状に保存し、保存部分と新築部分の境界線はあえて切り分けずに融合するデザイン。
 施設構成は東急不動産が展開する会員制シェアオフィス「ビジネスエアポート九段下」、地下1階に健康なコミュニティを創造する「九段食堂 KUDAN-SHOKUDO for the Public Good」を併設。
 2~4階には、創建当時の意匠を維持・復原した宴会場を含める「九段会館テラスコンファレンス&バンケット」。その他、オフィスワーカーの健康サポートや利便性を高めるクリニックモールや店舗等、様々な付帯施設を備える。
 また、1階のオフィスエントランスや、あらゆるエリアへの結節点となるプラザ、地下1階には日本のオフィスビルで初導入となる、米国View社が開発したスマートガラス「View Smart Glass」を採用。センサーとAIを利用し、天候等に合わせてガラスの透過率を4段階で自動調整し、室内に差し込む自然光・熱量を最適化する。さらに「Smart City Platform」を活用し、施設内の混雑状況をはじめとするIoTソリューションを一元運用する。
 加えてオフィスビルでの本格的な導入は日本初となるエアラボ(東京都千代田区)の吸引式ハンドドライヤー「CIRCULA『サーキュラ』」を全館で導入。
 同施設の北側に位置する正面玄関前には、外部との交流を生む緑豊かな広場として「九段ひろば」を設置。緑・水・歴史を感じることのできるこの場所は、オフィスワーカーだけでなく、来館者、近隣住民の憩いと交流の場を創出する。都心にありながら人々が能動的に関わる緑地デザインは、都市緑化機構が主催する「第32回緑の環境プラン大賞」緑化大賞(シンボル・ガーデン部門)を受賞。
 また、同広場からつながる西側の濠沿いには、南北に通じる一般歩行者用のデッキ通路「お濠沿いテラス」を設けた。加えて、南側に隣接する千代田区高齢者総合サポートセンター「かがやきプラザ」との間には、内堀通りから「お濠沿いテラス」へつながる遊歩道「九段こみち」を千代田区と共に整備。これらの整備により連続する歩行者空間が生まれ、周辺エリアの回遊性向上に寄与する。

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