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「虎ノ門・麻布台プロジェクト A街区」上棟 立体緑園都市実現へ

2022.04.25 14:48

 再開発が進む東京オフィスエリア。近年の環境負荷低減をはじめとしたSDGsの実現や、コロナ禍で加速した働き方の多様化などのニーズに対して、どのように応えていくかが注目されている。そのなかで、虎ノ門・麻布台の注目プロジェクトがこのたび上棟。オフィス市況だけでなく、街づくりに大きなインパクトを与えそうだ。
 森ビル(東京都港区)、日本郵便(東京都千代田区)が参加組合員として参画し、虎ノ門・麻布台地区市街地再開発組合が推進する「虎ノ門・麻布台プロジェクト A街区」が21日、上棟した。
 A街区は高さ330mの多様と複合の超高層タワー。総貸室面積は約20万4000㎡。基準階面積約4300㎡の大規模オフィスや世界有数のラグジュアリーリゾートを手掛けるアマンとのパートナーシップによる「アマンレジデンス 東京」、「慶應義塾大学予防医療センター(仮称)」、50カ国以上、約700人の生徒が在籍する都心最大規模のインターナショナルスクール「ブリティッシュ・スクール・イン東京」に加えて、多彩な店舗が揃う大規模な商業施設を併設する。
 A街区7~52階のオフィスは基準階貸室面積約4300~約4840㎡、全方位に約18mの奥行きを有する整形な無柱空間。開放的で自由なオフィスレイアウトを可能にする。
 建物には大地震後の継続使用を可能にする特級レベルの耐震性能を採用したほか、地震時に安全のために停止したエレベーターを低ガル(ガルは地震の大きさを示す単位の1つ。低ガルは震度5弱以下)検出時には速やかに自動復旧させるシステムや停電時の非常用発電機での専用部に100%電力供給できる設備を備えるなど、入居企業の脱炭素に向けた取り組みを支援する。また街全体をワークプレイスとして活用できるよう、様々なシステムやサービスを用意して、自由で創造的な働き方を実現していくという。
 全体コンセプトは「緑に包まれ、人と人をつなぐ『広場』のような街‐Modern Urban Village」。約8・1haの計画区域内には約6000㎡の中央広場を含む緑化面積が約2・4haにのぼる。都心部の既成市街地でこのような大規模な緑化空間を創出するためには、細分化した土地を取りまとめて広大な敷地とし、超高層建築を建てて足元に広大なオープンスペースを創出することが不可欠だ。
 「虎ノ門・麻布台プロジェクト」ではA街区を始めとする複数の超高層建築によって、足元には緑豊かな環境を創出し、住む・働く・学ぶ・遊ぶ・憩うなど、多様な都市機能が徒歩圏内に集約された「立体緑園都市(ヴァーティカル・ガーデンシティ)」を実現する。竣工は23年を予定する。

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