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小田急沿線のエリア特性を生かすPOPUPスペース提供サービス開始

2021.12.06 11:45

 従来の賃貸借契約とは異なり、短期間・短時間での営業や曜日ごとの展開など柔軟性を持った店舗契約として昨今POPUPが注目される。設立31年目の総合広告会社・小田急エージェンシー(東京都新宿区)と小田急SCディベロップメント(東京都新宿区)は、ブランドと小田急沿線生活者の体験価値の創発等を目的に、今年6月からPOPUPスペース提供サービス「ODAKYU POPUP X」を開始した。
 キッカケは昨年から猛威を振るう新型コロナウイルス。緊急事態宣言により、小田急沿線の商業施設でも休業が相次いだ。小田急エージェンシーと小田急SCディベロップメントは新たな収益源を模索する中、POPUPに着目。各商業施設の有益スペースを活用するため、プラットフォームである同サービスを開発しスペース情報を紹介。利用者はエリアに合わせて1日から1カ月単位でPOPUPSHOPの展開ができ、小田急沿線生活者との体験価値接点、ブランド認知獲得を目的に商品販売やプロモーション活動を効率的に行うことができる。同サービスにおける各社の担当は、小田急エージェンシーが事務局業務全般と出店企業の募集・販売を実施。企画、設計、施工、運営業務までを一括して担当する。一方小田急SCディベロップメントは、各商業施設の共用部等をPOPUPスペースとして提供。事務局及び各商業施設担当と連携し、申込内容の精査を行う。既に6月25日より申込受付を開始しており、多くの問い合わせが寄せられているとのこと。
 また出店場所は同沿線商業施設のうち、11施設24カ所と多彩である。場所の選定理由としては「沿線の幅広いエリア特性を生かすことができるため」で、商業・住宅・観光地エリア(新宿、世田谷、神奈川エリア等)を店舗の特徴に合わせて選択できることも強みだ。また、どの場所も各エリアの玄関である「駅ナカ・駅チカ」の商業施設が中心。普段から沿線地域住民は、利用することに慣れている場所でもある。そのため「ODAKYU POPUP X」に出店する企業と、利用客の体験接点を設け、利用客の来館動機につながり、生活により一層彩りが添えられることも期待できる。
 営業本部プロモーション部の柴田雄介氏は「出店場所となるスペースは、具体的に2種類あります。屋外であると館の顔である入口付近や屋上となり、屋内でしたら館内イベントスペースや休憩スペースとなります。出店企業様には常設店、ECでは補えない販売・出店形態として、幅広い業種・業態の企業様に活用して頂きたいと思います。例えば、新商品のテストマーケティングやプロモーション活動、ブランドPRの場として有効的に機能するでしょう。また出店時の立体的な広報・PR戦略として小田急線の交通媒体と連携させることで、効率的な告知・広報・PR活動が可能な点も特長の一つです」と語った。
 今後小田急エージェンシーは、まず11施設24カ所の反応を見ながら、他のエリアや場所で追加できるスペースがあるかを検討するとのこと。反応や結果によっては次年度以降、沿線以外の展開も視野に入れている。まずは今年度同沿線での実績構築を目指していく姿勢だ。一方販売を行う立場として、出店企業に提案できる候補スペースは多く確保したいとのこと。取り扱いが可能、もしくは提案できる物件に限り取得も積極的に行っていく予定だ。候補としては沿線以外の都心エリアや沿線観光地エリアである箱根・湘南等が挙げられる。

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