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墓地霊園を管理する不動産会社向け 業務効率化進める管理システム展開

2021.06.07 11:03

 不動産管理の対象アセットとして意外なのが墓地。地場の不動産企業などが管理を担っているケースが多いようだ。ITコンサルティング等のサービスを提供するDeepApex(東京都千代田区)では、この分野に特化した業務効率化を実現するクラウド霊園管理システム「hakamory(ハカモリー)」を展開している。

 「ハカモリー」の展開を始めたのは2021年3月。墓地管理の業務は区画ごとの顧客管理や永代利用料の請求業務、霊園でのサービスや商品の管理などとなっている。不動産管理業務と似ているところが多い。
 代表取締役CEOの市川駿氏はサービスを最初に構想したのは「昨年9月頃でした」と明かす。同氏の父が不動産会社を経営し墓地の管理を行っているが、その父から「霊園管理を効率化できるITサービスを開発することはできないか」と投げかけられたのがきっかけだった。
 霊園管理のシステムは市場が非常に限定的で認知度も低く、新規参入もほとんどなかった分野だった。そのなかでいくつかの課題が生じていた。ひとつは運用コストだ。既存のシステムでは専用端末が必要で初期投資も高く、加えて「アップデート時には百万円単位のコストがかかることもあった」(市川氏)という。また機能性についても不十分な面が多かった。たとえばある霊園の個々の顧客データを抽出することはできても、顧客全体の一覧を抽出することができず、印刷して一覧化せざるを得なかった。
 市川氏は「『ハカモリー』ではそれらの課題を解決できる」と自信を示す。
 たとえば顧客データのひとつひとつの抽出から一覧の表示、また請求業務もシステム内で簡単に行えるなど、機能性を充実。専用サイトでIDとパスワードを入力することで利用できるクラウド型のため、タブレットやパソコンがあれば利用することができる。標準機能のアップデートについても更新料はゼロで、導入・運用コストの大幅な圧縮に成功している。
 市川氏は「現在は少数の霊園で導入して頂き、改善点などのフィードバックをもらいながら改善を行っている段階です」とする。その行程も最終段階となっていて、「近々、本格的にサービスの展開を進めていきます」と話す。
 対象は霊園管理を行っている民間企業で、不動産管理会社や石材店などがターゲットとなる。将来的には公営墓地を有する地方自治体向けにも展開を図っていく予定だ。 

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