週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

大学跡地7.6万㎡をCCRCに 高齢者住宅や病院を整備

2021.03.01 10:55

 大阪府大阪狭山市にある帝塚山学院大学の狭山キャンパス跡地約7万6000㎡が医療・介護施設を核にした街(CCRC)として再生されることになった。事業主はアジアヘルスケア推進機構(大阪市西区、以下・アジアヘルスケア)。昨年12月25日には、帝塚山学院大学とアジアヘルスケアとの間で土地・建物の売買契約が結ばれている、売却価格は非公表。来年4月に着工し、23年4月に病院と介護施設が先行オープンする予定。24年4月の完全オープンを目指す。
 CCRCとは「コンティニューイング・ケア・リタイアメント・コミュニティ」の略。元気な高齢者が、学んだり、働いたり、遊んだりといった社会活動をしながら生活し、将来介護や医療が必要な状態になっても介護・医療サービスを受けながらそこで暮らし続けることができる街のこと。アメリカで1970年代に誕生し、フロリダやアリゾナといった比較的温暖な地域に、富裕層向けのものが数多く存在している。日本でも人口減少が深刻な地域を定住人口増と新規雇用創出の両面で活性化する方策として近年注目されており、CCRCを名乗る大規模開発がここ10年ほどの間に各地で行われている。
 帝塚山学院大学は1966年に女子大学として開学し(現在は共学)、本部も大阪狭山市に置かれているが、今年4月1日に全学部学科を堺市の泉ヶ丘キャンパスに統合することを2018年5月に発表しており、狭山キャンパス跡地の活用方法が注目されていた。
 大学側で跡地活用方法についてプロポーザル式のコンペを行った結果、採択されたのが、既存の建物は幹細胞など再生医療の研究施設として活用するほか、図書館やカルチャーセンター、イベントスペースといった地域に開放する施設として整備し、病院と介護施設(有料老人ホームかサービス付き高齢者向け住宅)の複合棟を新設するというアジアヘルスケアのプラン。また、敷地内には研究者、医療・介護スタッフ用の住居も設け、主に若年層の居住を進めることで、敷地内での多世代共有を進めていく計画だ。
 「この街づくりのモデルが完成したら、日本国内はもとより、アジア各国への展開も考えていきます」(アジアヘルスケア 平栗潤一社長)
 若者世代の減少により、現在多くの大学で「キャンパスが余る」といった課題を抱えている。大学の中には医療関係機関を有するところも多いことから、今後はCCRCとして活用するケース増えていくことが予想される。アジアヘルスケアでも「今後、別大学のキャンパスも買収する予定」だという

PAGE TOPへ