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「人でつながる」をコンセプトとしたワークプレイスプラットフォーム構想

2020.07.13 17:32

「Team Place」を8月スタートへ
 ワークプレイス向けサービスの開発等を行うAnyWhere(東京都武蔵野市)は5月29日、「世界のコワーキングサービス カオスマップ」を発表。国内を中心に海外も含む計59のサービスを掲載した。コワーキングスペースなどのワークプレイスへの需要が高まりを見せるなかで、業界を一望するマップとなっている。同社ではこのマップに加わる新しいプラットフォームを構想している。

 シェアオフィス・コワーキングスペースの施設や関連サービスが拡大している。特にコロナ禍のなかでリモートワークが推奨される中、ワークスペースのない自宅などよりも、このようなスペースを選好していく動きは活発化しそうだ。
 今回、AnyWhereが発表した「世界のコワーキングサービス カオスマップ」はそのような需要、そして運営事業者などの供給サイドにとっても改めて国内外のサービスを網羅的に再認識させるものとなっている。CEOの斉藤晴久氏は「運営するプレイヤーはデベロッパーから独立系、異業種からの参入、自治体・NPO系まで多彩になってきています」と指摘。外資ではWeWorkやRegus、SERVCORPなどが参入しているが、まだ未参入の「巨人」も多い。ただこれらに関しても「日本企業が出資しているサービスもあるので、将来的には参入してくる可能性がある」と話す。
 今回、なぜこのようなカオスマップを作成したのか。背景には今後展開する自社のサービスの立ち位置を確認していく意味合いもありそうだ。
 AnyWhereは斉藤氏含め3人で起業した。同氏はもともと外資系企業などで勤務。スペースマーケット(東京都新宿区)での在職中にはオランダのコワーキングプラットフォーム「Seats2meet.com」のアンバサダーを務めるなどしてきた。時間や場所にとらわれない働き方を実践してきた経験を生かして国内のシェアオフィスやコワーキングスペースのシーンでも活躍。そのなかで、国内の施設の課題についても見えてきた。
 そのひとつが「運営者や利用者の顔が見えづらい」ことだ。利用者と施設をつなぐプラットフォームは数多い。その一方で斉藤氏は「運営者の想いや、どんなビジネスを行っているユーザーが利用しているのかにスポットを当てたプラットフォームは少ない」と指摘する。そこで同社が8月にベータ版のリリースを予定しているのが「Team Place」だ。
 「『Team Place』では自分の目的や価値観に合った環境が見つかるワークプレイスプラットフォームを目指していきます。利用者と場所をつなぐことはもちろんのこと、利用者とその場所にいる人もつなげていくことを考えています」(斉藤氏)
 イメージとしてはスペースシェアリングとSNS(ソーシャルネットワークサービス)、あるいは相互の得意分野を共有しあうスキルシェアリングといったところだ。スペースの詳細やオーナーや既存の利用者の紹介、地域情報までをプラットフォーム内に掲載する。利用者はスペースだけでなく、自分のビジネスとのシナジーを見いだせたり、価値観や考え方、働き方にマッチした場所を探すことができる。将来的には海外のコワーキングスペースの掲載や利用者の獲得にもつなげていきたい考えだ。
 すでに7月3日からスペース運営者の事前登録を開始している。「人でつながる」プラットフォームとして存在感を発揮しそうだ。

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