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都市型賃貸用物流施設「プロロジスアーバン」シリーズが始動

2020.07.06 16:27

既存ビルの改修・建替で都市部に物流施設を供給
 プロロジス(東京都千代田区)は1日、都市型賃貸用物流施設「プロロジスアーバン」シリーズを国内でも提供すると発表した。
 「プロロジスアーバン」の国内第一号である「プロロジスアーバン東京品川1」は既存のビルを改修したもの。6月末に工事が完了し、1日に正式稼働を迎えた。
 立地するのは、りんかい線「品川シーサイド」駅徒歩5分、京浜急行線「青物横丁」駅徒歩7分の海岸通り沿い。延床面積2万8000㎡、地上6階建てで、1階および3~6階は倉庫スペースとして、2階は事務所スペースとして賃貸する。倉庫スペースは、最小100坪から1フロア最大1200坪での利用が可能だ。
 1階には10tトラックが着車可能な荷捌きスペースを備えるほか、プロロジス初の試みとして3~4階の入居企業にプロロジスのパートナー企業による館内物流のサービスを提供し、荷物の入出庫を代行。5~6階の入居企業は、専用の荷物用エレベーターを利用することができる。宅配便や都心部の小売店舗へのラストワンマイル配送拠点、検品や商品撮影などを含むECフルフィルメント拠点として好適といえる。
 また公共交通機関でのアクセスに優れたロケーションであり、ショールーム、撮影・音楽等のスタジオ、プロトタイプ製品の実験・開発拠点など、倉庫利用に留まらない多様な使い方にも対応可能としている。
 こうした特長が評価され、賃貸面積5400坪のうち約80%の賃貸契約を締結。ヤマト運輸(東京都中央区)や大手IT関連企業などが入居するほか、3~4階は引き続き入居企業を募集中。ヤマト運輸は、都心部への配送を担うラストワンマイル拠点として利用する予定だ。
 今回の物件は既存ビルの改修だが、新築にも着手している。第2弾として、足立区入谷で2020年11月の竣工予定の「プロロジスアーバン東京足立1」を開発中。第3弾も足立区内で、2021年の竣工をめざし「プロロジスアーバン東京足立2」が計画中。新築、既築いずれにも対応できる柔軟性を持った不動産活用でもある。
 コロナ禍を最大の理由とするEコマースの拡大は、都市部における物流施設ニーズの大きさをあぶり出したと言っていい。プロロジスは都市部のラストワンマイル圏における物流拠点を消費者や小売店に品物を届ける最終拠点とし、「Last Touch」と呼称する。日本においても消費者へのラストワンマイル圏での物流施設需要が一層高まるとみて、「Last Touch」の一環として「プロロジスアーバン」を提供していく。
 プロロジス代表取締役社長の山田神酒氏は「今回の施策は物流業界への提案であるとともに、不動産オーナーへの提案でもあります。物流施設の役割の多様化と、不動産活用の多様化が生んだといえる取り組みです。今後は4棟、5棟と数を増やしていければ」と抱負を語る。
 将来的には、圏央道周辺などに立地する都市近郊の大型物流施設「プロロジスパーク」と都市型の物流施設「プロロジスアーバン」のネットワーク化による利用も広がるとみて、開発を加速化したい考えだ。

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