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スペースマーケット 初の「シェアエコ専用保険」 貸主・借主双方に安全・安心を提供

2020.06.01 16:23

他のプラットフォーマーにも広がるか

 スペースシェアリングのプラットフォーム大手のスペースマーケット(東京都新宿区)と損害保険ジャパン(東京都新宿区)は4月23日、シェアリングエコノミー業界で初の専用保険となる「スペースマーケット保険」を共同で開発したことを発表。4月から「スペースマーケット」内で成約した全ての利用に適用されている。貸主側にとってこれまで、スペース内の破損等があったときの加害者の特定作業等が難航することがあった。今回の専用保険は加害者が特定できなくても、被害者である貸主側からの申請によって保険金を請求することができるようになった。

従来は加害者側が申請 特定作業や受取まで煩雑さ
 スペースシェアリングの利用機会が増えている。パーティースペースや民泊、ポップアップストアから貸会議室まで幅広い。それらのスペースの利用に際して、これまで貸主・借主双方にとって重視されてきたのが「トラブルが発生した場合に備えたサービス事業者による保証や介入の仕組みがあること」だ。
 スペース運営者である貸主と利用者となる借主を仲介する各プラットフォーム事業者はこれまでそれぞれ独自に補償プログラムを設定。スペースマーケットでも3年前より同様のプログラムを実施してきた。ただ執行役員COOの井上真吾氏によると「従来の補償プログラムでは課題があった」という。
 「これまでの補償は施設賠償責任保険を基盤としたものでした。この場合、たとえばスペースを利用した際に物を壊したなどのケースがあった場合、被害者である貸主が加害者である利用者を特定すること、そして加害者側が保険金を請求して被害者側に支払うという制度設計となっていました」
 なかには加害者側も気づくことなく破損したケースもあり、そうなると特定作業は難航。加えて特定ができたとしても貸主が保険金を受け取るまでのタイムラグがあった。
 「このような補償が必要となる事故は利用案件に対してごくわずかです。ただ被害額は数千円という少額から、数十万円という金額に及ぶことまであります。貸主にとっても借主にとってもより安心安全にレンタルスペースを体験してもらいたいと思い、損害保険ジャパン様との共同開発を進めてきました」
被害者側からの申請でOK 今夏にはLINEで簡潔に
 今回開発した「スペースマーケット保険」は加害者が特定できなくても、被害者側から申請が可能となり、事故・トラブルの内容や保険金請求に必要な情報を保険会社に連絡することで保険金を受け取ることができる。保険の活用に特別な事前登録をする必要はなく、「スペースマーケット」を介しての案件であれば、全てに適用される。
 加えて今夏にはこの申請作業がコミュニケーションアプリ「LINE」でもできるようになる予定だ。これまで保険金請求から損害の確認、支払先口座登録手続き完了までの期間が2~3週間かかっていたものが、「最短で30分に短縮することが可能になる」(井上氏)という。貸主・借主いずれの「スペースマーケット」利用者はスマートフォンアプリからの利用が多く、「親和性は高い」と期待する。
 「スペースシェアリングは近年認知度を得てきましたが、まだ多くの人にとっては新しい体験です。この貸主にとっても、借主にとっても初めての体験を、楽しんでいただきたいというのが当社の思いです。今回の保険は利用に際しての課題を1つ取り除くことができたと考えており、この保険の設計は他のプラットフォームでも活用されていくことになるでしょう。今後も生じてくる課題に対してソリューションを提供し、シェアリングエコノミー全体の拡大発展につなげていきたいと考えています」(井上氏)
 ビルオーナーにとっても「シェアリング」は不動産活用の観点から注目を集める。今回の保険はスペースのシェアリング事業を後押しするきっかけになりそうだ。


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