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コロナウイルス、テナント賃料を直撃

2020.04.20 17:11

 コロナ禍による不動産賃料減額の波が広がっている。
 国土交通省は3月31日、ビルオーナーやデベロッパーなどに対し、不動産関連団体を通じて賃料の支払い猶予に応じるなどの「柔軟な対応」の実施を要請した。新型コロナウイルスの感染拡大にともないさまざまな業種において事業活動が縮小しつつあるが、特に緊急事態宣言以降は店舗を中心に業務を中断する業種が増大。飲食店などはテナント賃料の支払いが困難になるケースが散見されるようになっている。
 国土交通省の要請はこうした状況を踏まえたものだ。支払い猶予などの「柔軟な対応」を求めるとしているのみで減額や免除については言及していないものの、テナントからの減額要求を後押ししていると捉えるビルオーナーも少なくないようだ。都内のあるビルオーナーは「国土交通省の要請後にテナントからの賃料支払いに関する交渉が増加した」と話す。いくつかのテナントとは、保証金を賃料に充当するなど具体的な交渉に入っているという。
 4月に入ると、大手デベロッパーやショッピングモールなどがテナントと賃料減免交渉を行っていることが明らかになった。いずれも収益減は免れず、すでに複数の不動産関連企業が業績予想の下方修正を発表している。
 不動産経営は、テナントの業績が収益に直結する。オーナーとテナントが運命共同体であるという事実を、あらためてコロナが浮き彫りにした。

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