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蓄電池・太陽光発電を活用したエネルギーマネージメント オーナー向けの収益サービス

2020.03.23 15:55

 オムロン(京都市下京区)は今春から、蓄電池を活用した太陽光発電によるエネルギーマネジメントサービス「エネサプリ」を開始する。
 エネサプリは、太陽光発電と蓄電池を活用する新たな電力エネルギーのマネジメント事業。ベースは家庭用の太陽光パネルを生かした、使用電力の負荷削減方法。建物に設置した太陽光パネルで自家発電し蓄電。蓄電した電力は夜間や雨天時、また災害等々で電力の供給がストップした時などに使用する。オムロンは2015年から蓄電池で自給自足できるビジネスに参入。現在では家庭用の蓄電池販売シェアトップ(オムロン調べ)。
 今回の「エネサプリ」は、低層の集合住宅を持つ不動産オーナーがターゲット。オーナーは保有する物件の屋根に太陽光パネルを取り付け、自家発電した電力は入居者に販売。余剰電力は電力会社に売電。実際の電力販売の収入は、入居者が電力会社に個々で支払っていた電気代をオーナーが一括で徴収。その一方で太陽光発電や一括受電契約により、電力会社に支払う電力料金は多少削減ができる。その差異の一部が電力販売の収入となる。オーナーは家賃収入以外の収益が「入居者への販売」と「電力会社への売電」で確保できる。オムロンはエネサプリのマネジメントやオーナーが対応すべき電気代徴収や蓄電制御などの手間・業務を負担する代わりに、電力削減部分(削減費)をオーナーと分配し利益を得る。
 ERAB事業推進部の宮野裕一部長は「『エネサプリ』は、オムロンが再生可能エネルギーの普及を目指したサービスの第一弾。対象は低層集合住宅となり、1棟20戸までを想定しています。主にアパートや平屋、企業が保有する低層の社員寮等を対象にしており、ゆくゆくはビルや大型のマンション向けにも進出したいと考えています。が、まずは低圧電力の物件を保有するオーナーや企業に積極的にアプローチしていきます」と語る。
 既に太陽光パネルを取り付けているオーナーであれば、既存の物を活用できる。オーナーが入居者と電力会社の両方に売電することは、これまでにない新しい取り組み。手間の掛かる契約や料金徴収はオムロンが担当・サポートすることが、魅力。宮野氏は「年数の経過とともに物件の資産価値/不動産の収入は低下していきます。その収入を補填するサービスとして『エネサプリ』を活用してはいかがでしょうか。蓄電した電力は停電時・災害時に使うなどもできるため、低層住宅のBCP対策とエネルギーマネジメントにも良いと思います」と結んだ。

入居者の電気代を割引 「お得感」をリーシングに
 不動産オーナーが抱える課題として、不動産の資産価値低下が挙げられます。弊社のエネサプリは「入居者から選ばれる物件にしたい」「リーシング力を保ちたい」といったニーズに応えることが可能です。例えば、新築時の物件は入居者が集まりやすいので良いですが、築年数が10年・20年と経過すると、リーシング力は低下。その際、入居者用の電気代を柔軟に割り引いてあげることでお得感をPR。賃料を値下げせずとも電気代の割引だけで、入居者の客付けに上手くゆくシステムも可能です。

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