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埼玉工大が電力需給システムの実証実験

2020.03.16 12:10

 埼玉工業大学(埼玉県深谷市)は、再生可能エネルギーを高い効率で利用する研究・開発として、自然エネルギーの蓄電に適した「レドックスフロー電池」を同学「ものづくり研究センター」に設置し、3月11日より実証実験を開始した。学長主導の下、工学部生命環境化学科環境計測化学研究室松浦宏昭准教授の研究チームが実用化に向けた実証実験を展開する。
 この実証実験では「ものづくり研究センター」に新たに設置したバナジウム系の「レドックスフロー電池」に、学内に設置した太陽光パネルで発電した電力を蓄電。夜間には放電して館内の照明に使用する。
 「レドックスフロー電池」は電池反応に関する部材の劣化がないため、充電や放電を繰り返しても長寿命。不燃性の材料で電池が構成されているので、爆発や発火が起こらず安全性にも優れている。電池本体を大きくすることなく、電解液タンクの液量を増やすことで大容量化できる点もメリットだ。さらに、電解液が各電池セルと電解液タンク間を循環して充電および放電する仕組みのため、各電池セル間の充電度合いが均一化。電力の変動の大きい自然エネルギー用の蓄電池として適しているという。  今回、同学に設置された太陽光発電とレドックスフロー電池を連動させた電力需給システムでは、太陽光発電で得られた電力を館内照明用に給電すると同時に余った電力をレドックスフロー電池に蓄電する。館内消費の必要量に対して太陽光発電だけで足りない曇りの日などは、レドックスフロー電池から自動的に放電を開始。太陽光発電の電力とあわせて館内照明に給電できるシステムとして稼働する。
 この蓄電池システムが実用化されると電力の地産地消が可能になり、災害時における防災拠点や公共施設、病院などの新たな非常用電源として期待されている。

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