週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

ミートランス 繋がり重視のコワーキングスペース 代表ゆかりの多摩地域に貢献

2019.12.02 11:25

 ミートランス(東京都国立市)は、webサイトのデザイン制作の会社として2016年に設立された。現在は、東京都の多摩地域で働く人々のコミュニティの場となるようなコワーキングスペースの運営にも注力している。数少ない「多摩地域のコワーキングスペース」は、どのように地域貢献を進めているのか。

グルメサイトから出発 人々が繋がる環境を
 代表の田村圭祐氏は、前職ではweb企画やディレクション業務を行っていた。そんな彼がweb制作会社在職中に目を付けたのがグルメの口コミサイトだった。田村氏は語る。「従来のグルメサイトはユーザーがそれぞれに飲食店の評価を行うだけでしたが、グルメ嗜好の似ているユーザー同士をマッチングすることで好みの店の情報をシェアできるのではないかと考えたのです」。
 同サービスの開発・サイトデザイン等はほとんど自社で行い、開発期間は約3カ月。はじめは自社で運営していたが、今では開発側に専念し数十社に提供している。
 コワーキングスペースを始めたきっかけは、田村氏が会社を立ち上げた際にコワーキングスペースを利用した実体験からだという。「独立して最初のころはここを拠点としてやっていたわけではなく、都内のコワーキングスペースを利用していました。しかし利用する中で、他の利用者との情報共有の場がないことが気になりました。オープンスペースはありましたが、ほとんどの方はご飯を食べる時ぐらいしか利用しておらず、私がイメージしていた『他の利用者と情報交換ができる』空間はそこにはありませんでした」(田村氏)。そこで、田村氏は「繋がり」を重視したコワーキングスペースの提供を決意。内装はオープンな空間とすることを心がけ、スペース内にわざと仕切りをつくらないなど人々が交流しやすい空間づくりに注力した。
ニーズ以上のサービス 思い込め次の拠点も
 さらに、利用者同士で繋がることができるオンライングループを作成。それぞれの活動報告やビジネスに関する情報の交換を行うほか、定期的に食事会やコミュニティ内のイベントを利用者と意見を出し合いながら企画開催している。基本的にはコワーキングスペース利用者で希望者のみが参加しているが、中には「応援したい」という想いでコワーキングスペースの利用者でない人も。現在は、他県の民泊や空き家プロジェクトを計画している。
 そのような利用者参加型のコンテンツを用意した根底には、「利用者の方にとって、リターンになるような取り組みを行いたい」という田村氏の想いがある。
 「大切にしていることは、『利用者の求めていることの上をいくものを提供すること』。つまり、『どれだけ付加価値のついたサービスが提供できるか』ということです。都心にはきれいなコワーキングスペースは多いですが、当社は『多摩地域』において利用者同士が繋がる環境の整備やイベントを開催し、他のコワーキングスペースにはない利用者同士が交流する機会をモットーにしています。新規の顧客を取ることは大事ですが、既存の顧客に満足してもらうことでその循環が大切だと感じる」
 「国立を拠点としたのは、母親が国立に住んでゆかりのある場所だったため」であるという田村氏。多摩地域で働く人々のコミュニティ形成に貢献する同社だが、拠点の拡大を予定しているという。記念すべき2拠点目は「三鷹」駅周辺で、年明けの開業を目指す。




週刊不動産経営編集部  YouTube