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アソルティ サブリースの常識覆す 契約数は4年で150件に

2019.11.18 15:14

 東京都千代田区で飲食店舗のコンサルティング及びサブリース事業を営むアソルティ。代表取締役の伊藤彰氏は、数年前までザイマックス(東京都港区)子会社の役員に就いていた。そんな彼がなぜ飲食サブリースの会社を立ち上げたのか。
ひと工夫で空室ゼロ 工事費用も同社負担
 同社を立ち上げたきっかけは、ザイマックスの子会社を退社したその後の体験が背景。「ザイマックスの子会社を退社後、依頼を受けて飲食サブリース事業の会社を2年程手伝っていました。そこで働く中で『自分であればこのように事業を展開したい』というビジョンが次第に膨らんでいきました。そして、その実現を目指すべく2015年に会社を立ち上げるに至りました」(伊藤氏)。
 飲食店舗の募集を行う上で、物件オーナーが悩む事は多い。伊藤氏は、その困りごとの一つ一つに丁寧に対応していくことで解決策を考えていく。「金融機関や税理士を介して相談に来るオーナー様が多いです。特に、上層階の空室に悩む方は少なくありません。飲食店舗は人目に付きづらいためビルの2階や3階部分には入りたがりません。ですが、上層階に上がるための外階段を設置するなど工夫次第でいくらでも買い手がつくのです。物件オーナーの方から空室の相談をされた際、まずはどんな物件であるかヒアリングを行います。物件の改善策を見極め、場合によっては工事を行います。その際の工事費用は全て当社負担です。コンサルティングを行ってから販売までの期間はおよそ1カ月。この早さで行うことが、経営を軌道に乗せる一因だと考えています」(伊藤氏)。
 その様な取り組みの甲斐あって、同社のサブリース物件の稼働率は現在100%。一部チェーン店のテストキッチンを除き、すべて個人経営の店舗が入居しているという。
 飲食店舗の入りやすい条件について、同社ならではの見解がある。伊藤氏はこう語る。 「物件探しの段階で徹底しているのは『駅から徒歩7分以内』、『10~25坪』、『10~50万円の賃料』の3点です。7分というのは、私の経験則によるもの。距離にして450mほどで、多少天候が悪くても足を運んでもらえるぎりぎりの範囲です。面積は、25坪を上回るとチェーン店が入居することがあります。そうなると途端に値段が跳ね上がり、サブリース会社には大きな利益がなくなるため効率的ではありません。また、『店の広さが適していない』ということも飲食店経営の意外な落とし穴です。業態や店の雰囲気によって、狭い坪数で経営した方が集客できるということは往々にしてあります。さらに、飲食店の半分は起業して2年でつぶれてしまいます。その原因のほとんどは賃料。どんなに人通りの多い場所に店を構えても、賃料が払いきれずに撤退していくのです」
 また、同社では独自にサブリース物件のマップを作成。今どこにサブリース契約をしている店舗があるか、一目瞭然となる。伊藤氏は「ポイントとしては、『複数路線の乗り入れている立地』がねらい目。逆に『ハザードマップで危険区域になっているところ』、『飲食店舗の集積度が低いところ』はリスクが大きいため避けています。今注目しているエリアは『鎌倉』と『東急田園都市線沿線』。鎌倉は観光地として海外の方や若者にも人気のスポット。東急田園都市線界隈は、駅周辺の区画が整理されていることが多く人も集まりやすいと感じています」と語る。
人との繋がりがカギ「働く人が幸せに」
 同社は、物件オーナーとテナントがお互いに安心して経営できる環境整備を欠かさないという。「複数のテナントが入りたいといった場合は、審査を行います。経営者の人柄や、店からの音・匂いが気にならないかどうか。場合によってはビルオーナーに直接選んでもらうこともあります。入居する方と実際にやり取りもできるので、喜ばれるオーナー様も多いです」(伊藤氏)。
 伊藤氏は会社の理念について「飲食業界で働く人が皆幸せになってほしい」と語り、次のように続ける。
 「サブリースや仲介の業者によっては、一度テナントを探したらそれっきりでアフターフォローを行っていないところも見受けらます。しかし、ビル運営はその後も長く続いていきます。人と人とのつながりは決して軽視してはいけないところ。私たちは入居するテナントと近隣店舗とのトラブルを未然に防ぐため、近隣店舗などへの説明も責任をもって行っています。こういった手間ひとつで、その後のコミュニケーションが円滑になることも少なくないのです」。
 2015年の設立から5年目を迎えて、今ではサブリース件数が150件を超えた。現在も、新たに飲食店舗を迎えるビルを改装工事中だという。一人一人の声に耳を傾けながら順調に業績を伸ばしていく同社に、今後も目が離せない。


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