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オリパラ選手村跡地「晴海フラッグ」にエリアEMS導入

2019.10.21 14:09

 「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」に、AIによる電力需要予測機能を搭載した「HARUMI AI-AEMS(エリアエネルギーマネジメントシステム)」が導入される。
 「晴海フラッグ」は2020年東京オリンピック・パラリンピックの選手村として晴海エリアに建設される複合開発で、集合住宅、商業施設などから構成される。住宅部分は大会終了後に分譲・賃貸されるもので、進行中の住宅をメーンとした複合開発としては都内最大級。三井不動産レジデンシャル(東京都中央区)、三菱地所レジデンス(東京都千代田区)、野村不動産(東京都新宿区)、住友不動産(東京都新宿区)、住友商事(東京都千代田区)、東急不動産(東京都渋谷区)、東京建物(東京都中央区)、NTT都市開発(東京都千代田区)、日鉄興和不動産(東京都港区)、大和ハウス工業(大阪市北区)、三井不動産(東京都中央区)の11社が特定建築者として開発を進めている。完成すれば住宅棟23棟(5632戸)と商業施設が稼働する大規模な街となり、多くのエネルギー需要が見込まれている。「HARUMI AI-AEMS」の導入にあたっては前記11社に加え日立製作所(東京都千代田区)が参画。12社協同のもとに進められる。
 敷地近隣に水素ステーションを整備し、パイプラインで日本で初めて水素を供給。敷地内の純水素型燃料電池(PEFC)により電力を供給する。加えて太陽光などを活用した多重インフラを活用するため複雑なエネルギー管理が求められ、住宅中心の街ながらAEMSを導入することとなった。大規模一斉開発だからこそ、導入が実現できたといえる。
 「HARUMI AI-AEMS」は、「晴海フラッグ」の街区全体をエリアネットワークで繋ぎ、各街区における大容量のエネルギー情報データを一元管理して効率的なエネルギー運用を実現するもの。電力需要予測AIは、電力使用実績や気象情報などの収集したエネルギー情報を分析し、より精度の高い需要予測を可能にする。これをもとに効率的な水素消費計画や諸設備の制御運転などによるピーク抑制計画を立案。エネルギーを効率よく利用するとともに、AIの学習機能によって実績を重ねながらより高精度な予測を目指す。環境負荷の低減を実現し、電気料金などのコスト面でのメリットも期待できる。
 また、普段から蓄電池に一定の電力を残しておくなど、万が一の事態に備えた運転を実行。災害時においては、蓄電池や非常用発電機、純水素型燃料電池から共用部特定設備に電源を供給しライフラインを守る。さらに、災害時の運転実績から電力の使用傾向を分析し、電力供給持続可能時間を予測。災害時の対応力を高めていく。

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