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清水建設 新空調制御システム実用化 クリーンルームなどの制御に

2019.09.30 17:41

 清水建設(東京都中央区)は9月17日、クリーンルーム内作業者の滞在情報や粒子濃度を検知し、要求清浄度に適した循環風量を維持する省エネ型の空調制御システム「クリーンEYE(アイ)」を開発・実用化したと発表した。
 対象とする清浄度は粒径0・5μm以上で、クリーンクラスISO7~9としており、これは主な電子デバイス製造装置の組立工場等で要求される水準。既に複数の電子デバイス装置メーカーの生産ラインで同システムが採用されており、高い評価を得ているという。
 これまでのクリーンルームでは、作業者の有無や人数、粒子濃度に関係なく、中央監視システム等がFFU(Fan Filter Unit)の循環風量が一定になるように制御していた。加えて、循環風量は一般的に、製造工程等から出る発塵量の最大値を想定して計画。平常時は必要以上に高い清浄度が維持されてしまうことから、ランニングコストの低減が課題になっていた。
 クリーンEYEは、クリーンルーム内に滞在する作業者を検知する画像センサーと、粒子濃度を検知するパーティクルセンサーの2種類の環境センサーに加え、各センサーからの検知信号を受け循環風量を制御する制御装置から構成されている。制御装置が各環境センサーから得た検知信号を総合的に判断し、FFUの運転を直接制御することで、必要最小限のエネルギーで効率的に要求清浄度を満たす。
 実証実験では、循環風量を一定に保つ従来システムに比べ、循環風量を50%、ランニングコストを30%削減できることを確認した。また、制御装置が中央監視システムを介さず、直接FFUを制御する仕組みを採用したため、システム間調整や専用配線が不要になり、初期費用も従来システム比で10~20%削減可能だという。
 同社は将来的にはこのシステムをAIと連携させ、作業者の人数が増える時間帯等を予測する機能を備えることで、循環風量の急激な増大を抑制し、より効率的なFFUの運転制御を実現する考えだ。このシステムを設計提案に織り込み、積極的に展開していくことで案件受注にも結びつけたいとしている。

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