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クラウド・インベストメント 「FUELオンラインファンド」立ち上げへ

2019.06.17 18:41

大手不動産会社の資金需要と投資家マッチング
 投資の新しい形態であるクラウドファンディング。ひとつのプラットフォームが年内に誕生する。個人投資家や資金需要者である企業からも注目は高い。不動産のプロたちが手掛けることへの評価も高い。
 クラウド・インベストメント(東京都渋谷区)は今夏、クラウドファンディングサイト「FUELオンラインファンド」を立ち上げる。第二種金融商品取引業免許を取得し、企業と投資家をつなげるプラットフォームをつなげいく。今夏の第1弾として予定しているのが、不動産業界向けだ。既に上場ないしはそれに準ずる10数社と契約。立ちあがりに向けて最終準備を進めている。
 同社は2016年設立。不動産業務に精通した人材が揃っているのが特長。代表取締役の細澤聡希氏はドイツ証券でIT、金融、不動産業界を7年間担当。資金調達やM&A等のコーポレート・ファイナンス業務に従事。同じく代表取締役を務める徳毛雄一氏はリクルートコスモス(現コスモスイニシア)、国内不動産AM会社、米系プライベートエクイティファンド、三菱UFJ銀行、国内系資産運用会社で職歴を積んだ。また取締役の小川喜之氏は大和証券でキャリアをスタート。ダヴィンチ・ホールディングス子会社、Jリート運用会社、LCパートナーズで勤務。ファンド管理業務、コンプライアンス業務管掌の取締役に就任し、在籍時にはLCレンディングの取締役も兼務してクラウドファンディング業務の立ち上げに従事した。
 昨今台頭するクラウドファンディング・ソーシャルレンディング。投資家はなぜ注目して、企業はなぜ資金調達の場にクラウドファンディングを選択しだしたのか。
 細澤氏は「日本で投資型クラウドファンディングが高まりをみせてきたのは2014年頃からです」と話す。従来の投資商品としては株式や投資信託、国債やJリートなどがあがる。対してクラウドファンディングやソーシャルレンディングなどオンライン投資の魅力は、個人投資家のマーケットに少なかった比較的少額で投資できる商品という点に求められる。「現在国内でのクラウドファンディング投資家は10万人と言われています。まだまだ少ないですが、潜在的ニーズはあると感じています。『FUELオンラインファンド』はミドルリスク・ミドルリターンの商品を提供していくプラットフォームになりたい」と意欲を示す。
 一方で企業側のニーズはどうか。これまで金融機関からの借入や株式・社債発行が資金調達の主流だった。クラウドファンディングを導入することで資金調達の幅を広げられる。加えて細澤氏は「より幅広い個人投資家へのアプローチの手段としても最適です」とする。投資家だけでなく、企業にとってもオルタナティブの機能を果たせることへの期待感は強いようだ。
 「クラウドファンディングを企業が自前で準備するのはコストがかかります。そのプラットフォームを不動産のプロが業界に提供していくことで、他のクラウドファンディング事業者との差別化を図っていきます」
 オープンに向けて一段の体制整備も進める。今月3日には新しい社外取締役の受け入れを発表。そのなかのひとりとしていちご投資顧問(東京都千代田区)の織井渉会長を迎えた。「コンプライアンス全体をチェックしてもらいます。業界内でも様々な問題が起きているなかで、投資家から厳しい視線が向けられています。そのなかで信頼に足りうる体制をつくっていくために力を担って頂くべくお願いしました」。
 オルタナティブ投資の新しきプラットフォーム。まずはその立ち上がりに注目したい。

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