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都市型高層ZEB「近畿産業信用組合本店」完成

2019.04.09 11:48

従来比61%の省エネ率を実現 伝統と革新の共存でZEB化実現 都市部でのZEB普及にはずみ
 都心部の高層建築では実現が困難とされていた「ZEBReady」を達成したオフィスビル「近畿産業信用組合本店」。従来型のビルに比べ61%もの省エネが実現可能という同ビルの取り組みを探った。

 大成建設(東京都新宿区)は、大阪市北浜エリアに「ZEBReady」を達成したオフィスビル「近畿産業信用組合本店」を完成させた。ZEBReadyとは、ZEBを見据えた先進建築物として、高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備えた建築物。一般的な建物と比較してエネルギー消費量が50%以上削減可能なものを指している。
 近畿産業(大阪市天王寺区)発注による同ビルは「伝統×革新」をコンセプトに設計された省エネルギー建物で、今まで都心部の高層ビルでは困難とされていたZEBReadyを達成を実現した。
 「近畿産業信用組合本店」は建築面積658㎡、延床面積1万1335㎡、一部SRC造のS造、地上18階地下1階塔屋1階の高層ビル。大阪証券取引所をはじめ、銀行や信用組合の本店が密集する関西の金融中心地である大阪市北浜エリアに位置する。石を多用し重厚で伝統的な金融機関らしいデザインのビルが多く見られるなか、同ビルは「伝統×革新」をコンセプトとした。伝統を表す石と近代的なガラスで構成されたダブルスキンの外装で、意匠性だけではなく環境性能にも優れた建物とした。
 外観の特徴となる外装のガラスには、遮熱・断熱性能に優れたLow-E複層ガラスを使用。窓辺には太陽光自動追尾型ブラインドを設置し、効果的な日射遮蔽が可能。その他にも、ダブルスキン内の熱を利用した空調システムや人検知センサーを利用した照明制御(T-Zone Saver)を導入。ライトアップにもLED照明を使用するなど様々な省エネ技術を駆使することで、従来のオフィスビルに比べ約61%の年間一次エネルギー消費量を削減した。
 また18階建て約78mの建物は、信用組合の本店ビルとしては国内随一の高さ。敷地内には総合設計制度の採用による公開空地を設け、様々な種類の樹木や草花を植え、夜間は照明により明るさを確保することで潤いと温かみのある空間を街に提供し地域のシンボルとしている。
 近畿産業は、こうした取り組みをSII(東京都中央区)が公募するZEBリーディング・オーナーに登録し、さらなるZEB普及に取り組む。大成建設では今後もさまざまなZEB化に関わる新技術の開発と在来技術のベストマッチングを図り、市場性のあるZEB化建築物の普及展開を積極的に推進するとしている。

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