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建築商売 コンセプチュアルホステル開設にアクセル 「没入感」で人気、空室活用の新施策に

2019.03.18 14:30

 昨年7月、建築商売(東京都渋谷区)は「The WARDROBE Hosetel Roppongi(ザワードローブホステル六本木)」を開設。コンセプチュアルホステル(以下、ホステル)の運営にも乗り出した。ファンタジー「ナルニア国物語」をテーマにしたホステルの稼働が順調に進むなかで2月、「ザワードローブホステル」2号目、そして新ブランドホステル1号店を開設。その自由かつ大胆な発想に空室の活用プランとしてオーナーからも高い評価を得ている。

新しいブランドも発表「宿泊」以外の付加価値も
 2月に開業したのは「オリエント急行」をコンセプトとした「ザワードローブホステル上野御徒町」と、新ブランドとなるミュージアム併設型ホステルの「ザマイクロミュージアムホステル上野鶯谷」。双方のホステル運営は建築商売グループのOUR SPACE(東京都渋谷区)、またミュージアム運営はTHE MICRO MUSEUM(東京都荒川区)が行う。開設費用は改修費用やもろもろで約3000万円。
 「ザワードローブホステル」の特長は「高級感」やコンセプトとなる世界に入り込める「没入感」、そしてそれを形作るための「つくりこみ」に求められる。六本木同様、室内のドアや装飾品は特注。物語の登場人物のような気分で宿泊できるのが売りだ。
 一方、「ワードローブ」に続く新ブランド「ザマイクロミュージアム」のコンセプトは「アート」。入口から客室までのわずかな空間を「マイクロミュージアム」としてアーティストの作品を展示。宿泊者だけでなく地域の人にも無料で開放される。年間で10人以上のアーティストを紹介した上で、観覧者から最高の評価を得たアーティストを表彰する「アワード」も実施する。運営会社のTHE MICRO MUSEUM代表取締役の須藤真希氏はブランド誕生の背景について「若手アーティストにとって展示できる機会は少なく、また観る側にとっても観賞する機会は限られている。『ザマイクロミュージアム』ではアーティストと、観る人となる地域住民や宿泊者をつないでいきたい」と話す。
オーナーから支持拡大3月以上開設ラッシュ
 建築商売代表取締役の田口啓右氏は「オーナーからのホステルに対する理解が浸透してきています」と手応えを感じている。
 「ワードローブホステル上野御徒町」が入居するのは築50年近いソシアルビル。駅から徒歩5分と立地はいいものの、長期間の空室に悩んでいた。「不動産会社から案件を紹介いただき、早速交渉しました。訪日観光客が客層ということで若干の懸念もありましたが、六本木での事例をもとに高い収益性や静穏さ、また運営体制についてご説明し、賃借できることになりました」という。
 同社では「10ブランド100プロジェクト」の直営ホステルを生み出していくことを目標に掲げる。今年は開設に文字通りアクセルを踏み込んでいくことになる。
 「ザワードローブ」シリーズでは3月15日に「ザワードローブホステルツリー大手町」と「ザワードローブホステルフォレスト下北沢」をオープンさせた。コンセプトは「ツリーハウス」と「森」だ。
 「いずれの空間も『緑』がテーマとなっています。グリーンデザインは青山のグリーンショップ『FUGA』に監修していただき、都会にいながらも癒しやくつろぎを感じられるホステルを目指しました。『ザワードローブホステルフォレスト下北沢』ではグリーンのほか、目黒のインテリアショップ『KARF』のコラボレーションでインテリアにもこだわっています」 
 新シリーズ「ザマイクロミュージアム」も既に日本橋と吉祥寺でオープンを予定している。鶯谷同様、アーティスト作品を展示する。また、先の「ワードローブホステル上野」の上層階に新しいホステルが夏前にオープンする。「西洋の物語やアートと2ブランド立ち上げましたが、ここは更に新しい、3ブランド目となります。まだ名称は決まっていませんがコンセプトは『大正ロマンス』となります。こちらは6月頃のオープンを予定しています」(田口氏)。
 すでに「年内に自社ブランドで計25ホステル」は圏内に入っている。「宿泊施設はプレイヤーが多く参戦しているが、ホステルの供給は少ない。くわえて設備やアメニティーでも『最低限』のところも多い。そのような従来のホステルのイメージをよい意味で『破壊』できるものにしていきたい」と意欲を見せる。
「時代の逆張り」もホステルの次見据える
 一方で同社の本業は建築リノベーション。ホステル以後の展開にも目を向ける。そのひとつの構想が「純喫茶」だ。
 「マスターがいて、テーブルはゲーム機になっていて、軽飲食が楽しめる。このような昔ながらのお店はほとんど失われてきています。そのような純喫茶を再興していきたい」
 ホステル同様、自らのブランドを立ち上げて軌道に乗せる。そうすればリノベーションや空きビルの再生プランのメニューに加わる。エリアのコミュニティとして機能していくことも期待できる。  「10ブランド100プロジェクト」に向けて進む田口氏。「不動産会社から100の案件を紹介されて1件決まる」という割合。今後プロジェクトを進めていくなかで「ホステルの魅力やビル経営に貢献できることを発信していきたい」とした。


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