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ブリッジ・シー・キャピタル 「CREAL」オルタナアセットに力 AUM累計300億円超のノウハウ活用

2019.03.18 14:39

 オルタナアセットに注目が集まる中で、不動産投資型クラウドファンディング「CREAL」では新たに保育所ファンドの募集を開始。1週間ほどで成立下限額を達成し、投資家からの注目も高い。今後は夏前にも大型ファンドの募集を目指していく予定で、更なる注目を集めていきそうだ。

 不動産投資クラウドファンディングサービス「CREAL(クリアル)」を運営するブリッジ・シー・キャピタル(東京都中央区)は本年2月28日より募集していた保育所ファンド「第9号駒込保育所ファンド」が3月6日、募集総額4・5億円のうち成立下限額2・5億円を超えたためファンドとして成立した。なお、引き続き3月24日まで投資募集は継続される。
 本ファンドは保育所・託児所の運営を行う、さくらさくみらい(東京都中央区)が運営を行う認可保育所「さくらさくみらい駒込」の土地およびその建物を取得・運用するもの。投資運用期間は本年4月1日から来年3月31日までの1年間で、投資運用期間中の配当利回りは4・0%(年利)。出口は一般事業法人を予定している。  保育所ファンドは珍しい。これまでの不動産投資クラウドファンディングでは底地を組み込んだ事例はあるが、本ファンドのように建物を含めて募集するのは初事例とみられる。代表取締役社長の横田大造氏は「東京都内は児童の数が増えている。待機児童の数は減少傾向にあるが、『隠れ待機児童』なども考慮すると保育所の数は不足しているため投資アセットとして注目している」と話す。同社が運用する私募ファンドでも組み込む予定だという。
 1口1万円という少額からインターネットを介して投資できる不動産投資クラウドファンディングやソーシャルレンディング。2010年代から日本でもサービスが始まり、個人を中心とした小口投資家から注目を集めてきた。
 一方、足もとでは厳しい視線が注がれている。ソーシャルレンディングの大手事業者が投資元本を毀損したり、募集した投資資金を用途外に流用する事件が発覚し訴訟の動きが出てきた。
 「このような問題の背景には従来のソーシャルレンディングが貸金業法の枠内で貸付先が非開示となっていることがあります。金融庁で制度改正が議論されていますが現状では情報量が制限されています」
 加えて指摘するのが「ハイリスク」という点だ。ソーシャルレンディングは企業に事業資金として貸し付けるもの。たとえば投資家に対して8%の利回りを約束している案件では企業に10%で貸し出す。「このような高い利率で借りるのは、裏を返せば金融機関が貸したがらない案件である」からだそうだ。
 貸金業法の枠内で制限があるソーシャルレンディングに対し、そのような制限が無い不動産投資型クラウドファンディング事業者は毀損リスクに対して劣後出資を組み込む。本ファンドは投資家による優先出資4億5000万円に対して、ブリッジ・シー・キャピタルが5000万円の劣後出資を組み込む。これにより売却価格で毀損が生じたとしても10%以内の減額なら元本毀損は生じない。
 「CREAL」独自の取り組みとして目を引くのが情報開示力だ。「当社は不動産投資型クラウドファンディングのサービスに分類され、不動産特定共同事業法に基づいて運営しています。投資先が不明瞭なソーシャルレンディングとは異なり、ファンドで投資する物件を明確化するとともに、運用や物件についての詳細な説明はもちろんのこと、動画を用いて物件にイメージを持ってもらったりオペレーターにインタビューして運営会社の理念や情報についても積極的に開示しています。Jリート以上の情報開示量、かつそれを投資家に分かりやすくお伝えしていくことが私たちの役割であり、責務だと考えています」
 同社では夏前に新しい大型ファンドを投入する予定だ。「まだどのようなものかは明らかにできませんが、やはり今までの不動産投資クラウドファンディングなどで扱われてこなかった物件になります」と横田氏は言う。
 横田氏が目指すのは「不動産投資の民主化」と「投資と共感の両立」。「社会的に有益でかつ投資家が共感する、それでもって安定的な利回りを実現するファンドを継続的に発表していきたい」
 投資家並びに不動産関係者は「CREAL」の推移に注目していきたい。不動産投資クラウドファンディングが不動産投資の裾野を広げることができるか。そして、今後どのようなオルタナティブアセットが登場していくか。

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