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FANTAS technology 新規事業立ち上げ クラウドファンディング12日より出資スタート

2018.11.19 17:17

 不動産業界でクラウドファンディング事業を立ち上げる動きが進んでいる。そのなかで新しく空き家の再生や中古マンションなどの流通を主とする「FANTAS funding」が12日スタートした。今後は年間で120ファンド超の組成を目指す。
 FANTAS technology(東京都渋谷区)が先月29日に発表していた「FANTAS funding」について12日、出資受付をスタートさせた。同日現在、会員数は1万7000名超となっている。  「FANTAS funding」では空き家の再生プロジェクトや中古マンション、新築マンションを主に取り扱う。12日のスタート時点では空き家プロジェクト1件、中古マンションプロジェクト6件の計7件が出資受付を開始した。
 ファンディング本部マネージャーの永野由貴氏は今回サービスの狙いについて「ひとつは幅広い層から資金調達を実現することでの選択肢の拡張」だと話す。またクラウドファンディング案件の出口での売却時に、クラウドファンディング出資者向けに販売していくことも「展開していくなかで狙っていきたい」と話す。
 「FANTAS funding」の投資スキームは1ファンドごとに8割の優先出資債と2割の劣後債を設定。この2割の部分をFANTAS technologyが担い、8割部分を投資家から募る。このようにすることで、20%までの元本割れは投資家にダメージを負わせないようにする。
 1案件の調達額は物件によって変動するが、「空き家の場合は400~500万円、中古マンションは1000万円台を見込む。今後、開発プロジェクトが出てくれば億単位の調達となるだろう」という。
 今後、新築マンション1棟もののファンドも組んでいく。年間120ファンド以上の立ち上げを目標に掲げる。「権利関係など物件の問題をクリアにしたものを組み込んでいきます。そのため、空き家は時間がかかるものが多い」とする。また将来的には海外物件を手掛けていく可能性もある。
 昨今、不動産投資型のクラウドファンディングへの参入は多い。一方で、システム面やエンジニア人材の確保で大きなコストがかかるために、興味があっても乗り出せない事業者も多い。
 「当社ではシステム関連の本部があり、体系的にリスクコントロールをしていく自信があります。このような組織を備えた不動産会社はまだ少なく、そのことは当社の強みになるのではないか」(永野氏)
 一方でコンプライアンスにも気をかける。特に最近、不動産投資の界隈では多くの問題が噴出した。
 「不正はもちろんあってはならないこと。加えて、投資家に物件を勧めていく上での倫理観として、きちんと実需のあるものを提供していきたい」(永野氏)
 問題に見舞われた投資用不動産、クラウドファンディング。それでも投資家の注目の強さは登録会員数の伸びからみても明らか。その注目に応えていきたいところだ。

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