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東京急行電鉄 「渋谷ストリーム」開業

2018.09.18 12:21

 東京急行電鉄(東京都渋谷区)は13日、旧東急東横線「渋谷」駅のホームや線路跡地ならびに周辺街区において開発を進めてきた大規模複合施設「渋谷ストリーム」を開業した。また同時に、渋谷川に面した遊歩道を整備するとともに、その先に位置する複合施設「渋谷ブリッジ」も開業。流行の発信拠点として機能する渋谷の街に、新たな情報集積・発信地が生まれた。
 「渋谷ストリーム」は、東横線「渋谷」駅の地下化によって利用されなくなった旧「渋谷」駅の駅施設や線路跡地を活用し展開されてきた再開発プロジェクト。建物は高さ約180m、規模は地上35階地下4階建て。延床面積は約11万6000㎡。建物内は約30の店舗が集積する商業ゾーンや、177室の客室を備えるホテル、渋谷エリアで最大級となる総貸室可能面積約4万6000㎡のオフィス、スタンディングで約700名を収容するホールなどから構成される。
 なお、「渋谷ストリーム」のオフィスフロアにはグーグル日本法人が本社機能を置くことが公表されている。
 今回の開発では、官民連携による渋谷川の再生、広場や代官山方面へとつながる遊歩道の整備も併せて実施。遊歩道の先には2棟の建物で構成される複合施設「渋谷ブリッジ」が位置している。A棟には保育所型認定こども園が開園。そしてB棟はオフィス・ホテル・店舗などからなる。
 「渋谷」駅周辺では、2019年に「渋谷スクランブルスクエア」東棟の開業や「道玄坂一丁目駅前地区」の再開発ビルの竣工などが予定され、今後も街の様相を大きく変える注目の開発が控えている。東京急行電鉄では地元住民や行政などと連携しながら「渋谷ストリーム」開業に合わせ様々なイベント企画やまちづくりにも注力しており、渋谷で展開される官民連携のまちづくりはこれからも活発に展開していくとみられる。
 また、同社は今月12日に開催された取締役会で、2019年9月を目途に軌道事業を含む鉄道事業を分社化することを決議した。今後は2019年6月下旬に開催する株主総会での決議と、所管官公庁の許認可取得へ向け動く。
 東急電鉄は、鉄道事業を柱とする交通事業と、開発を含む不動産事業、流通小売などからなる生活サービス事業の3つの事業を核とし、ホテル・リゾート事業なども展開。常務執行役員の藤原裕久氏は「各事業における持続的成長のためには、それぞれの事業を取り巻く環境の変化への対応が必要であり、新たな付加価値の創造による事業拡大を図らなければならない」としたうえで、グループ経営を担う事業持ち株会社と事業経営を行う子会社に、機能別に再編するとした。不動産、生活サービス、鉄道という異なる事業の1社展開を是正することで、従業員の働き方を変えることも目的という。藤原氏は「鉄道事業は切り離すのではなく、グループが変化する一環。次の100年に向けた施策の一つ」と位置付ける。
 分社化は東急電鉄を分割会社とする会社分割により、東急電鉄の100%出資により設立される新会社に鉄道事業を継承させる、吸収分割方式を想定している。新会社の上場は今のところ想定しておらず、ホールディング制は「東急電鉄のリテラシーではない。企業風土に合わない」(藤原氏)などの理由から、今後も採用しない。「東急電鉄」というグループ全体の名称変更の可能性については「今後の検討次第」(藤原氏)という。
 東急電鉄グループの前年度売上は、交通事業(バス等含む)2115億5700万円に対し不動産事業は1825億7400円。生活サービス事業は7003億5200万円。他に1041億400万円など。

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