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店舗の空き時間をシェア「よじげんスペース」始動

2018.08.27 13:08

 シェアリングが隆盛するなかで、飲食店舗の空き時間シェア実現にむけて動くよじげん。展開するかき氷専門店での悩みが着想のきっかけとなった。民泊などが無断転貸で問題になるなかで、オーナーにもメリットを出すことでハードルを乗り越える。

収益の2割をオーナーに還元
 日々、シェアリングのアイディアが生まれている。不動産業界でも新たな試みが始まろうとしている。
 8月1日によじげん(東京都新宿区)は、店舗の空き時間のシェアリングを可能にするプラットフォーム「よじげんスペース」の先行登録を開始したと発表。今秋から稼働させる。
 「よじげんスペース」は、「月単位」で店舗の空き時間を貸し借りできる検索サイト。その目的は集客の悪い時間帯や営業時間外を収益化したい店舗経営者と、新しく店舗を開きたい人などをマッチングさせることにある。
 転貸する物件に関してはあらかじめビルオーナーから許可をとる。収益の2割をオーナー側に還元する仕組みだ。民泊がオーナーに対して無断で行なわれて問題になったことは記憶に新しい。その二の轍を避ける。
 よじげんがこのような事業を始めたのはなぜか。
 代表取締役の荒木賢二郎氏によると「当社は2015年に創業してから、かき氷専門店『かき氷ラウンジ』を展開してきました。事業は好調で、2018年8月現在全国で8店舗出店。今夏には赤坂でオープンをしている。「猛暑も手伝って人気を集めています」と話す。
 ただ荒木氏は当初「店舗を通常の賃貸借で借りる必要性があるかどうか」で迷った。
「当然ながら、冬場にかき氷を販売しても売れません。夏場が一番のピークと考えて、たとえば4月~10月までの半年間、昼間だけ借りることができれば事業としての効率は当然良くなります」
 荒木氏は店舗出店を行う場合「700万円ほどかかる」という。物件を借りるために必要な費用が家賃20万円、それに加えて保証金などで300万円ほど。スケルトン状態のため、内装の造作などで400万円。「当社のかき氷などのような季節物はもちろんのこと、起業して店舗を開業する人にとっても初期費用が重い」と指摘する。
 シェアリングビジネスが広がりを見せるなかで、店舗のシェアリングに対応した動きもある。ただ荒木氏によると「既存のサービスは1日単位のものが多く、1カ月以上の長期間はサービス外というものが多い」という。今回の「よじげんスペース」で「このスキマを埋めて需要を得ていきたい」と話す。
課題も多かった新サービス 提携やIoTで壁超える
 「よじげんスペース」を展開するうえで、いくつかの課題があった。
 第一に転貸になる点だ。荒木氏は「民泊が無断で貸すことで問題となり、先般の法律制定の一因となった。当社のサービスではオーナーから許可をもらうことを前提にしましたが、それでも『転貸となるので厳しいのでは』という意見もあった」と明かす。が、転貸収益の2割を手にすることができるのはオーナー側のメリットだ。「また長期入居につながる可能性もある」と指摘する。
 「飲食店舗は失敗した場合の撤退判断も早い傾向があります。テナントが退去した場合、オーナーは仲介会社に広告費用などを払って次のテナントを見つけなければならない。サービスを利用して、入居店舗の経営を良くする腐心を共有することで長期の入居につなげていくほうが得策ではないでしょうか」(荒木氏)
 もう一つは「物損などが起きた場合の責任区分」だ。この点も転貸が嫌がられる理由とされる。ただ同社では「まだ発表できませんが、ある保険会社と提携して、保険を開発することになりました。これを活用することで、この課題をクリアにしていきたい」とする。
 また管理上の懸念に関してもカメラやスマートロックを利用することで、安心・安全なサービス運用を目指す。
 「よじげんスペース」は9月からスタートする。年内で20件のスペース登録を目指す。2019年、2020年で100件の登録、事業として年商10億円を目指していく。「加えて、国外での展開も目指していきます」(荒木氏)と日本発のグローバル展開を目指す。
 日本発、グローバル展開できるシェアリングプラットフォームとなるか。その足掛かりが日本で築けるか注目したい。 


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