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草加市で私有地利活用始まる 奏草舎運営カフェ21日開業

2018.08.20 18:18

市が所有する遊休地を民間が管理運営し、新たな賑わいを起こす取り組みが出てきている。これからその第一歩を踏み出す事例が草加市にある。地域の資源を生かしたエリア活性への展望を聞いた。

選定以前からマルシェ 熱意伝わり事業者に選定
 人口流入を続ける草加市。足もとの勢いを持続していこうと、新しいまちづくりへの取り組みが進む。
 その一翼を担うのが2017年3月設立の奏草舎だ。昨年9月に行われた「草加市高砂二丁目地内まちづくり推進事業用地利活用に係る公募型プロポーザル」において、事業者として選定。駅近くながらも、長らく更地で有効活用されてこなかった。今回、奏草舎ではこの場所にコミュニティパーク「sosopark(ソソパーク)」を開設。今月21日には第一弾のプロジェクトとして直営のカフェスタンド「sosocafe(ソソカフェ)」をオープンする。物販テナントの誘致や個人や事業者がスペースをレンタルしてショップを開設できるチャレンジショップ、キッチンカーなどで賑わいをつくっていく。
 奏草舎のメンバーは地元のカフェオーナーや、絵本作家、農家、ミュージシャンなど多彩な人材が揃う。代表取締役社長の塚本正氏も草加インターネット放送局「草加元気放送局」の局長だ。会社設立のきっかけとなったのは2016年に開催された「リノベーションスクール@そうか」だった。
 「リノベーションスクールの時に現在の奏草舎のメンバーがひとつのユニットとして活動したのがきっかけでした。今回のプロポーザル案件に応募を考える段階で、法人として取り組むことのメリットが大きかったため、奏草舎として事業化しました」(塚本氏)  今回の土地への熱意は大きかった。もともと選定される以前から、同地にてマルシェなどを開催。有効活用に向けたプランニングを実証し、あたためていたのだ。「草加市でもリノベーションまちづくりを推進している。そのことや当社の熱意が伝わり、選定に至ったのだと思います」と塚本氏は話す。

ベッドタウンの課題克服へ 高品質なショップを集積
 24万7991人を数える草加市の人口(2018年1月1日現在)。0・38%増という数字だが、都心で働く人たちのベッドタウンとして存在感は大きい。
 塚本氏も「非常に住みやすい街だと思う」と話す。一方で懸念となっているのは「すこしオシャレなものや、感度の高いアイテムが欲しいとなると、都心へ出てしまっているのが現状です」と指摘する。それだけにイベント時などを除くと、来街者数を伸ばすにも決定打に欠けているのが現況だ。
 そこで「sosopark」ではクオリティの高いショップなどを揃えることで、感度の高い人にもアプロ―チしていくことを目指す。塚本氏は「昔から住んでいる住人と最近移り住んできた人たち、それに加えて来街者を交えたコミュニティ空間にしていきたい」と展望を語る。またショップ構成の戦略を高い水準に持っていくことで、周辺商業施設とのバッティングも避ける。  「sosocafe」がオープンすれば、次に注目を集めるのは誘致するテナント、チャレンジショップでオープンする陣容だ。
 すでに募集を開始している。屋根付きの「倉庫for PRO」では月10万円の家賃で、保証金3カ月分、契約期間は1~6カ月間で次のテナント候補が未決定の場合に限り契約延長も可能。スペース貸しとなる「パーゴラスペースfor CIVIC」では1週間5000円、1カ月2万円となり、保証金は不要。またキッチンカーに関しては、月3000円に設定する。これに加えて、月に1回程度、イベントも開催していく予定だ。
 今回のプロポーザル契約の期間は10年間。奏草舎の取り組みはスタートしたばかりだ。人口減少という暗雲が日本を覆うなかで、活力のあるまちづくりの姿はどのようなものか。「sosopark」の取り組みはひとつのモデルとして、その成り行きに注目したい。

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