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トイレの利用状況をスマホで表示 混雑緩和や清潔・安心を提供するシステムを開発

2018.07.02 17:44

 ビルの印象を決めるのはトイレといわれることもある。2016年6月実施のネオマーケティング社のインターネットアンケートによると、「トイレがきれいだと再訪したい」と答えた人は82%。また「離れた場所から、トイレの状況を知ることができたら便利ですか?」の問いに、「便利」だと答えた人が78%。どうやらトイレが清潔でスムーズに利用できたら、大半の人が「心地よい」と感じることは間違いなさそうだ。
 トイレの混雑緩和や清潔・安心を提供するシステムがある。ウイン・コンサル(北海道札幌市)の「tomole(トモレ)」だ。
 三つのメリットがあるが一つはトイレ利用者へのメリット。トイレの場所や距離、洋式/和式、使用状況などが、施設のディスプレイやスマホからリアルタイムで確認できる。建物内のトイレの使用状況が端末から読み取れ、トイレ待ちのストレスを軽減できる。
 二つ目は、ビルオーナーおよびテナントの管理上のメリット。トイレ利用者が汚れていると感じたら、ボタンを押し、トイレの管理者に掃除の必要性を通知することができる。つまり、建物内のトイレを常に清潔に保つことが可能だ。トイレの長時間利用についても、「tomole」は通知機能があるため事故や急病を防ぐことも可能だ。また緊急時にはトイレ内の利用者が発信しなくても良い仕様のため、病院や介護施設での活用も期待できそうだ。
 三つ目はビルオーナーの運営・管理をフォローするメリット。トイレがどれだけ使用されていたかが、数値で明確になる。これを清掃オペレーションの解析に役立てつつ、改装の際に必要なトイレの場所や数を再検討することもできる。
 トイレの利用状況は、基本的にスマホもしくはパソコンからの確認だ。ただしこうした機器に慣れていない高齢者のためにビル内に表示板を置き、そこで確認することもできる。
 これまで「tomole」は、「札幌コンベンションセンター」、JR西日本の「京橋」駅や各種商業施設などで採用実績がある。
 「ビル清掃においては、常に人材不足という状況があります。必要な状況やベストなタイミングで清掃し、『できるだけ省力化を図りたい』というビルオーナーのニーズにも応えられる製品です」とウイン・コンサルのソリューション事業部の福塚健一氏は語る。 「tomole」を使えば、和式と洋式ではどの程度の利用頻度が違うのか。また出入口に近い/遠いでは、利用頻度はどう違うのか。こうした細かい分析も明確になっていく。実際にトイレの出入口から最も遠いトイレは、他のトイレに比べ5分の1の利用頻度という結果もある。
 「『tomole』はトイレを対象にしている製品ですが、センサーを変えれば別の使い方もできます。たとえば温度や湿度のセンサーを使い、建物内の不快指数も計測することが可能です。またオフィスの食堂がどんな状況かも読み取ることもできます。『今は混んでいるので食堂へ行く時間をずらそう』ということも可能です」(福塚氏)
 長時間過ごすビルでは必ず使用するトイレをできるだけ待たずに、常に快適に。「tomole」採用を検討してみてはいかがか。

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