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日本土地建物 「NTPR後楽園ビル」をホテルにコンバージョン

2018.05.21 13:49

 インバウンド需要が拡大するなかで、物件の資産価値を高めるためにホテルへのコンバージョンは隆盛だ。そのなかで日本土地建物は「NTPR後楽園ビル」の用途変更を実施。時代の潮流に乗るとともに、後楽園という東京ドームなどの集客施設がある一方で宿泊施設が比較的少ないエリアという「地の利」を生かす。

 日本土地建物(東京都千代田区)は5月14日、文京区本郷にファンドを保有していた「NTPRビル」を対象にプロダクトマネージメントを行なった。それを「ドーミーイン後楽園」として開業。運営管理はドーミーシリーズを手掛ける、共立メンテナンスがあたる。
 1階はエントランス、2階はキャビンタイプのホテル42床、3~9階はビジネスホテル117床のハイブリッド型。B1階に約100坪の食堂および、男女別約30坪の大浴場を配した。共立メンテナンスとしても、ハイブリッド型の運営は初めての試みだという。
 客室の天井高は約2・6m。オフィス時の天井高、約3・7mを活かした。床下や天井配管スペースを設けても、余裕のある高さだ。また、特別避難階段(東京都安全条例)、身障者駐車場(バリアフリー条例)、スプリンクラー全館設置(消防法)など、各種法規制に適合すべく改修工事を実施した。
 コンバージョンのポイントは3点。まずは建築ストックを活かした、オフィスビルからビジネスホテルへの転換。国内でも希少な例だが、日本土地建物のリノベーションやコンバージョンの豊富なノウハウを活かした。
 2点目はインバウンド需要拡大を踏まえたホテル開発。同ビル周辺は、同規模同スペックの賃貸オフィスが多い。賃貸オフィスとしての市場競争力の面では懸念があった。むしろ文京区は東京ドームや日本武道館などが集積しているにも関わらず、宿泊施設が比較的少ないエリア。「NTPR後楽園ビル」は、都営地下鉄三田線・大江戸線「春日」駅から徒歩1分の好立地にあり、観光やレジャーを目的としたインバウンド需要が見込める。
 3点目はバリューアッド型ファンドによる開発と、私募REITへの物件売却。開発期間中の所有者・バリュー型ファンドエヌティ後楽園に対し、NTPR(日本土地建物系プライベート投資法人)から取得検討の申込がなされ、譲渡されるという枠組みである。NTPRは2015年2月からオフィス・住宅・商業施設などを運用する総合型REIT。本物件の取得により、資産規模が約740億円に拡大する。
 私募REITは拡大を続けており、2017年12月現在で23法人が運用。その資産規模は約2兆4000億円といわれる。多様化する不動産投資ニーズに、応える形だ。

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