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沼津発 建設企業の挑戦

2018.03.19 10:40

ワンストップの建築力でZEBと働き方改革を両立
「建物まるごとショールーム」としても活用へ
静岡県沼津市の総合建設会社である植松グループ。4月よりZEB認証を取得した新本社の運用を開始する。それに先だち今月10日、11日の両日に渡って行われた「グループ感謝祭」では実際にオフィス内部の見学会も開催。ZEBへの取り組みはもちろんのこと、同社の「働き方改革」への取り組みや、ショールーム機能についても説明がなされた。いずれも不動産業界の課題であるが、足もとでは大手先行の分野。そのなかで中堅、中小事業者がいかに取り組むべきかを植松グループの事例は示唆している。

 地元の総合建設会社である植松グループ(静岡県沼津市)はこのたび新本社を竣工。2018年4月1日からの使用開始を前にして、3月10日、11日に「グループ感謝祭」を開催。そのなかで新本社の内覧会も開催された。
 建物性能で特長となるのは今回の新社屋でZEB認証を受けたこと。「ZEB」とはゼロ・エネルギー・ビルのことで、省エネと創エネによって実現される。この「ZEB」のなかでも省エネ率、創エネレベルによって認証が異なり、最も認証条件の低いもので「ZEB Ready」、そして「Nearly ZEB」、最高ランクの「ZEB」と続く。今回の新本社は省エネ、創エネを合わせて110%。最高ランクである「ZEB」認定は100%以上のため、新本社ビルは「ZEB」認証を受けるに至った。
 なぜこのような取り組みを行ったのか。省エネ効果を高めることによって行政からの補助金も期待できるものの、初期投資は高く、これまでZEBの事例としては大手デベロッパーが中心だった。同社の広報担当者は「ZEBは環境問題への取り組みとして、大手企業だけでなく全体的な取り組みが必要だと考えています。当社の事例を見ていただくことで『中堅、中小の事業者でもZEBはできる』という流れの形成に一役買えれば」と話す。
 新本社は植松グループによって建てられている。グループは建設業の植松(静岡県沼津市)と建設資材の卸を行う植松建興(静岡県沼津市)の2社で形成する。家具や設備も取り扱う商材を使用。グループの技術力、商材が結集していると言える。
 植松グループの技術を結集させた新社屋。実は4月以降、1階の一部をショールームとしても活用していくことが決まっている。  「今回、ショールームとして活用していくことを意識して、打ち合わせスペースひとつひとつも家具や建材などを微妙に変えています。また実際に見て触れる、さらに『使用できる』ことがここのショールームの売りです」(広報担当者)
 1階にはトイレやバスなども設置されているが、「全て実際に使用可能」だという。17時以降はショールームが終わり、同社社員が使用できるようになる。「入浴することもできる」というから、これまでのショールームとは一線を画す。

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