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<マーケット分析> 日本の商業不動産 最高は銀座の坪賃料40万円 成長高いのは再開発進む渋谷

2018.03.12 12:12

クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド
エグゼクティブ・ディレクター
ヘッド・オブ・リテール・サービス、ジャパン
須賀 勲氏

 国際的な都市間競争が激しさを増す中で、世界から見た日本の商業不動産市場はどのような状況か。東京都心の主要な商業エリアの現状について、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(東京都千代田区)でリテール部門の責任者を務める須賀勲氏に聞いた。
 同社では年1回、世界の主要都市で最も商業テナントの賃料が高いエリアを、同社独自の係数を用いて算出。賃料水準の高い順からランキング化したデータを発表している。昨年11月に発表された最新データによれば、日本で最も賃料が高いエリアは銀座で、坪あたり賃料の最高額が40万円であった。このランキングによるとニューヨーク、香港が突出しており、リーマン・ショック直後はニューヨークの賃料が一時的に下落し香港に1位の座を譲っていたが、3年前から再びニューヨークがトップとなっている。この2都市の坪あたりの月額賃料はいづれも銀座の倍以上という数値である。ニューヨーク・香港に次いで賃料が高いのはロンドンで、ミラノ・パリ・東京は年によって順位が変動することもあるようだ。須賀氏は「大通りに大型テナントが出店するなど、エリアにとってエポックメイキングとなるような出来事があると、順位が入れ替わることもある」と話す。
 東京では銀座のほか、表参道(原宿・青山を含む)・新宿・渋谷・池袋などが主要な商業エリアとして挙げられる。1つのエリアの中で最も賃料の価格帯が高額な通りを「Tier1(ティア1)」、以下「ティア2」、「ティア3」と定義した時、都心で最も商業テナントの賃料が高水準といえるのが前述した銀座の「ティア1」で、坪あたり25万円から40万円となっている。その次に高額なエリアとなるのが表参道と新宿である。両エリアの「ティア1」は坪あたり15万円から30万円という価格帯で推移している。また、東京ではないが大阪の心斎橋筋・御堂筋が、近年の外国人観光客急増の商業エリアとしての人気が飛躍的に高まっている。同エリアの商業テナントの賃料は坪あたり10万円から30万円と、物件によっては表参道や新宿に匹敵する賃料となっている。渋谷は最も賃料が高い「ティア1」が坪あたり10万円から20万円で、銀座・表参道・新宿に次ぐ水準であるが、今後の成長性が最も見込めるエリアが渋谷である。
 「渋谷では駅周辺での大規模再開発が2020年代にかけて数多く計画されています。このため街の集客力やブランド力が一層強まるものとみられ、その影響が商業店舗の賃料にも反映される可能性があるでしょう」(須賀氏)

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