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トライエル オンライン上で現地内見を疑似体験

2018.02.26 14:34

「不動産版のユーチューブ」着実に認知広げる
 賃貸物件に入居する前に必ず行う現地内見。しかし遠方の物件など、内見が困難な例も少なくない。紙媒体では不十分な物件の詳細をよりよく知るためのツールが、賃貸管理会社の間で普及し始めている。

 トライエル(東京都渋谷区)が開発した「オンライン内見」は、マンション・アパートで入居前に必ず行う現地内見をオンライン上のライブチャットを通じて行うことのできるシステム。仲介業者や管理業者といった不動産取引の現場担当者はスマートフォンやタブレット端末で物件内を撮影し、その模様をライブ中継でエンドユーザーのパソコン・タブレット端末で閲覧することができる。これまで現地内見は、物件が遠方にある場合に交通費の負担が大きくなってしまい、しかも紙資料や現地を撮影した写真などの情報だけでは物件の全容を知るには不十分であった。「オンライン内見」ではリアルタイムで室内の様子を伝えるため、遠隔地からでも室内の見たい箇所を自由に見ることができるという特徴を持つ。ライブ中継中は現地の担当者とエンドユーザーとの間で音声でのやり取りが可能なほか、ライブチャットによる文字情報でのやり取りも可能である。
 加えて、同社では動画や360度カメラで撮影した静止画を撮影・保存して閲覧することのできる「オンライン内見VIDEO/VR」のサービス提供も開始した。同サービスは専用の管理画面から誰でも簡単に撮影・保存することができ、完了するとURLが発行され即座に撮影した動画を閲覧することができる。360度カメラで撮影した静止画を保存すれば、スマートフォン等の画面を移動させるだけで見たい箇所を見ることが可能だ。同社代表取締役の野田伸一郎氏は、「動画・静止画の保存数は当サービスの会員であれば無制限で、『オンライン内見VIDEO/VR』は『不動産業界版のユーチューブ』として今後も認知を広めていきたい考えです」と話す。
 同社では全国賃貸不動産管理業協会と連携し、協会に加盟する宅建業者に「オンライン内見」の周知を広めるなど徐々に採用実績を伸ばしている。年度末にかけては企業の人事異動が発表され転居先を探すサラリーマンや、地方から進学のために上京する学生などの引っ越しシーズンになる。事前の物件情報では知り得なかった事実を引っ越し後に知り後悔する、というのはよくある話だ。こうしたトラブルを未然に防ぎ、「失敗しない引っ越し」をサポートする同サービスは、マンションだけではなくオフィスビルや店舗など不動産の様々な場面においても活躍の場を広げそうだ。

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