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三井不動産 ECモール運営に参入

2017.11.06 17:27

リアル店舗と連動10年で年間取扱高1000億円目指す
 三井不動産(東京都中央区)は今月1日に、同社グループで運営する商業施設と連動するファッションECモール「Mitsui Shopping Park &mall(アンドモール)」の運営を開始した。リアル店舗における買い物とネットショッピングの双方の良さを同時に享受でき、約200ショップ、約3000ブランドでスタート。今後1年で約400ショップに拡大を予定しており、店舗側にもメリットが大きいという。

 同日行われた事業発表会において、商業施設本部&mall事業室長の森政治氏より「プロジェクト検討に当たりリアルかネットかどちらかではなく、お互いに価値を高め合うECサービスを考え、リアル施設で取引のあるテナントからまず200店に出店して頂き、順次拡大していく予定」と事業説明がなされた。
 「&モール」はリアル店舗とネットショッピング双方の良さを同時に享受できる新しいコンセプト。特長はまず、リアル店舗における欠品対策やECサイトからリアル店舗への送客支援が挙げられる。店頭で欠品していてもその場でタブレットを使い在庫確認と購入ができる(商品は後日、購入者宅へ配送)。ネットで受けた注文は店舗の在庫を出荷し、リアル店舗の売上となる。売上の10~20%にのぼるといわれる、店頭の在庫切れによる販売ロス(機会損失)の解消にも繋がる。また既存のリアル施設である「ららぽーと」や「ラゾーナ川崎プラザ」などの三井不動産が運営している三井ショッピングパークの約1000万人の会員が利用可能であり、出店側にとっての新たな顧客拡大に繋がる。
 「今後10年で年間取扱高1000億円を目指す。グループ全体の利益からは控えめな目標額かもしれないが、このフィールドでは新規参入であること、リアルと連動したECで顧客ニーズにどれだけ応えられるかというトライアル的な長い目で成長させたいという点もあり1000億円とした」(初期投資額については非開示)や「物流構築については各テナントそれぞれのシステムを使用し、現時点では独自の経路は持つ考えはないが、テナントのニーズに合わせ物流サービスもつけている」(森氏)とした。「アパレル業界は不振だがテナントを維持できなくなる店も出てくるのではないか」の問いには「特に昨年度、一時市場全体が不調な時期はあったが、今年度に入って復調傾向にあり、ファッション業界全体が衰退している認識はない。むしろ市場の変化をチャンスと捉えて取り組んでいきたい」と述べた。
 出店者4社によるパネルディスカッションも行われ「店舗とECとの在庫の連動が大きな特徴だが、ECを拡大していくことを考えるとどうしても店舗とECではコスト構造が変わってきている」、「店頭と倉庫の在庫を両方とも販売できる在庫共有が大きなポイント。お客様からも在庫量でご満足いただけるのでは」、「出店業者に対してもサポートを考えた事業を展開することは好意的に思う」等とテナントならではの意見が述べられた。

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