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ビルをリノベ「アート・音楽・食」を発信 築年が紡ぐ「物語」が再生の鍵

2017.09.25 11:01

 日本橋本町3丁目に現れた「THE A.I.R BUILDING」。築60年のオフィスビルを再生したものだが、ポイントは「改修」にあらず。架空のストーリーをビルに与えて、築古であることをワインで言うなら「年代物」に変えたことだ。

 飲食店、不動産業、レンタルスペースを運営するTRAVELING ELEPHANT(トラベリング エレファント、東京都中央区)は16日、Aritst in Residenceの機能を持つ「THE A.I.R BUILDING」をグランドオープンさせた。同ビルは日本橋にある築60年のオフィスビルを「Gilles(ジャイルス)というニューヨーク出身の架空のジャズミュージシャンが1970年代に住んでいた」というストーリーを元にリノベーション、それぞれのフロアでジャイルスが住んでいた当時を思わせる空間に仕上げている。
 「THE A.I.R BUILDING」は地下1階地上3階。各階にはアーティストが集うビルならではの仕掛けが施されている。  1階のカフェ「PUBLIC SPACE」では入居するアーティストのラウンジ兼キッチンを想定。「いつでも気軽にアートと接してほしいという思い、人と人を繋ぐ場所でありたい」という思いのもと運営される。2階はワークスタジオ兼レジデンスになるほか、ブランドのポップアップショップ、撮影のロケーション等としてスペースレンタルも可能な空間「LOFT」、3階はコワーキングスペース「BOX OFFICE」としてクリエイターやノマドワーカーの拠点として活用される予定だ。
 また地下1階にはギャラリー展示のほかにエキシビションパーティー等でDJやバンドのライブ演奏も行える空間「BASEMENT」となっている。グランドオープン当日にはパーティーが開催されて多くの人が集まることとなった。ビルの内覧会が行われたほか、地下1階を使用して国内外で活躍するジャズ演奏者によるセッション、また紅茶を中心とした新作ドリンクの試飲会なども行われた。
 新しいビル再生手法であるとともに、日本橋の新名所になりそうな「THE A.I.R BUILDING」。今後、どのような展開を見せていくかに注目が集まる。

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