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KDDI IoTでトイレソリューションを展開 時間と経費2つのコストをカット

2017.06.05 11:30

 通信事業者大手のKDDI(東京都千代田区)は3月よりIoTクラウドサービス「KDDI IoTクラウド ~トイレ空室管理~」と「KDDI IoTクラウド ~トイレ節水管理~」の展開を開始した。同社ではこれまでも個別の企業向けにIoTソリューションを展開してきたが、「昨年部署を立ち上げて、様々なクライアントに利用していただけるサービスのプロバイドを検討していました。今回のトイレの空室管理と節水管理のサービスはその第一弾となるものです」と話す。
 今回、トイレに関する課題に対するソリューションを発表した同社。これまでも各社で個別のコンサルティングを行ってきたが、ビジネスIoT推進本部ビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏は「トイレに関する課題を抱えている企業は多くあった」と話す。
 具体的にはトイレを探す時間によって業務の効率化が阻害されていることと、そこで使用される水量が経費コストとして負担となっているというものだ。
 なぜトイレの「空室管理」が必要なのか。従来、トイレの個室はその場に行ってみないとわからない。オフィス規模の大きさ、賃借しているフロアの数に応じて浪費する時間は増大傾向にあった。さらに原田氏は「この長時間化の要因には個室内でスマートフォンを操作していることが原因となっていることも考えられる」と指摘する。時間の浪費はトイレを探す時間だけでなく、個室内での「サボり」もあるというのだ。
「空室管理」を導入することで個々のパソコンなどからトイレのリアルタイムの空室状況を確認することができる。探すための時間をカットするとともに、「サボり」に対する抑止力ともなることで「オフィス内の効率化につなげることができる」(原田氏)。
 また同時に展開を開始した「トイレ節水管理」サービスではトイレに設置された人感センサーと高機能フラッシュバブルを組み合わせることで、利用者の滞在時間に応じて適切な水量の流し分けを可能にする。また水量のデータを蓄積することで、より効率的な運用につなげていくことも可能になっている。
 「これまで節水は利用者自身の意識次第というところが多かったのですが、効果的な節水につながっているかは疑問視されています。『トイレ節水管理』サービスを導入することで水量のデータを取得し、『見える』化が実現するとともに、大きな節水効果も確認されています。実際にあるビルでの導入事例では従来に比べて4~5割ほどのコスト削減にもつなげることができました」(原田氏)
 トイレの使用法は利用者のマナーに頼るところが大きかったが、「空室管理」、「節水管理」の双方のシステムはこれら「トイレ問題」への効果的なソリューションとなりそうだ。

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