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ウォーターポイント 水の専門メーカーが宅配ボックス事業に新規参入

2017.05.29 12:53

高品質・低価格の両立を追求
 ウォーターポイント(広島市西区)はスーパーマーケットなどに設置されている飲料水の自動販売機の開発・製造や飲料水の宅配販売などを主な事業としている企業。水の自動販売機のメーカーとしては業界2位の位置を占めている同社だが、新たに宅配ボックス事業に新規参入し自社で開発した「トランスマイスター 電子―BOX」の販売を今月末より開始する。
 「水の専門メーカー」であるウォーターポイントが何故宅配ボックスという業界に飛び込むことにしたのか。代表取締役社長の小早川克史氏は次のように語る。
 「国内のネット通販市場規模は経済産業省の調査によると2010年~から2015年の間で2倍近い伸びを見せています。しかしながらそれに伴い宅配便の取扱個数も急増しておりドライバー不足や再配達によるドライバーの負担増といった問題が深刻化しており、宅配業者の労使問題にまで発展しています。当社も飲料水の宅配を事業の一つとしており、再配達によるドライバーの苦労は身をもって知っています。このような状況から宅配ボックスの需要は伸びており、政府も設置に関する補助金を設けるなど積極的な取り組みに出ています。そうした中で、当社は他社の宅配ボックスの開発に関わる機会があり、その重要性と需要の大きさを認識し、当社でもこの市場に参入していくことを決めました」
 このような経緯から宅配ボックス市場に参入したウォーターポイント。業界の中では後発となる同社が開発にあたって追求したのは、「高機能」と「低価格」の両立だ。
 「トランスマイスター 電子―BOX」は専用磁気カードとパスワードで24時間荷物の預け入れ・取り出しが可能で、宅配ドライバーとのやり取りや受け渡しといった手間は不要。また利用状況を確認できる機能を装備しており、ボックス単位や部屋番号ごとに開閉日時を確認でき3日以上滞留している荷物に対しては警告通知が表示されるようになっている。さらに、別途保守契約を結ぶことで24時間・365日の電話サポートを受けることもできる。
 気になる値段だが、リース料は月額6000円と先行する大手企業と比べて約3分の2の価格。さらにボックスの数を1台から2台に増やしてもリース料は月額8000円で済む。
 「現在宅配ボックスを世に送り出している企業は増えていますが、安価なものは機能面に不安があり、一方で一定以上の性能を有したものはそれなりの値段になっています。近頃では不動産オーナーが宅配ボックスを設置することで賃貸物件などのアピールに利用するといった話も耳にしますが、導入費用の高さがネックとなり行うことができないということも少なくない。そこで、安価で高機能な製品を送り出すことでそうしたオーナーの需要に応えるべく開発しました」(小早川氏)
 当面の主なターゲットとしているのはマンションや在宅時間が限られている若者の入居者が多い賃貸住宅。初年度は100台の販売を目指す。発表後の手ごたえは上々、建設会社や不動産会社からの問い合わせも複数入っているという。また、現状は屋内型のみだが屋外型のリリースも検討中。更なる設置範囲の拡大を図る。

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