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<頭上注意!!看板天気予報>アオイネオン 帯広信金、屋外看板が落下

2017.04.24 16:09

施工不良の可能性オーナーは細心の注意を
 4月10日、帯広信用金庫(北海道帯広市)東支店で大型看板が落下する事故が発生した。看板は鉄製の直方体。長さ7m、幅約2m、重さは約2トン。被害者が出なかったのは不幸中の幸いだった。看板は1973年に設置したもので、当日は強風注意報が発令されていた。屋外広告物条例で義務付けられた3年に1度の定期点検報告書は提出していたが「道屋外広告物管理指針」で定められていた毎年行うべき定期点検を行っていなかった(法的な義務はなし)という。この事件を受けて、看板の施工やメンテナンス事業「看板ドクターR」を全国展開するアオイネオン(静岡市葵区)の管理課課長の荻野隆氏は「施工が杜撰であった可能性も否定できない」との見解を示している。
 看板は長さ10mの支柱の上に設置されていた。アオイネオンではこの事件を受けて、社内SNSを通じて「看板ドクターR」の技術スタッフを中心に意見を集めた。その結果「テレビ報道の映像を見る限りでは、支柱と看板が接する面のみを溶接するだけで済ましていた可能性がある」(荻野氏)との推測に至ったという。通常、支柱・看板本体のジョイント方法としては(1)鋼管内径に合わせた鋼管を差し込みボルトや溶接で固定する、(2)接合部にプレートを設置し高力ボルトで固定する。安全性を確保するためにはこの2つのやり方が一般的だ。しかし、今回の場合は「支柱上部は落し蓋のような接合だった」というのが、アオイネオンが導き出した見解だった。
 荻野氏は「所有者の責任として専門家による定期点検(目視でなく)を実施する。溶接が切れて看板本体が傾いた状態の間に対応すれば落下は防げたのではないか」とする。
 この見方を帯広信金に問い合わせたところ、担当者は「現時点では老朽化と強風が原因だと考えている」と回答し、施工面の問題には触れなかった。が施工不良の場合、看板の使用者・保有者である帯広信金の過失は免れない。
 ビルオーナーにとっても看板の定期的なメンテナンスは避けては通れない。ことが生じてからでは遅い。

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