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ハルエネ 新電力新展開 価格メリットだけでなく新たな付加価値も

2017.02.13 13:21

 ビルオーナーにとって、新電力への視点は「価格」に集中するかもしれない。それはこれまで新電力事業者の大多数が「価格」に焦点を絞って宣伝活動を行ってきた賜物といってもいいだろう。ところが、現在、まだ少ない社数ではあるが価格メリットに付加価値をつけることで、新電力の新しい展開を狙っている事業者がいる。
 そのひとつがハルエネ(東京都豊島区)だ。昨年の4月より「ハルエネでんき」というブランドで電力小売り販売を開始。利用料301kWh以上からの料金となる従量3段目から5%割引を同社では設定していて、コンシューマー事業部コンシューマーアライアンス部ゼネラルマネージャーの遠峰卓也氏は「現在の戦略として利用量が大きい飲食店や、それらの店舗が入居している商業ビルなどを中心にしてご案内している」と話す。エリアは北海道、東北、東京、中部、九州となっていて、「将来的には全国をカバーしていきたい」(同氏)と意気込む。  同社の戦略で特長的なのは他業種企業との提携。サービススタート以来、数カ月の間に複数の事業者との提携を発表していて、そのスピードは他社を圧倒する。これについて遠峰氏は「母体となっている光通信(東京都豊島区)の自社で提供できない部分を他社とのアライアンスを結んで補ってサービスの充実を図っていく考え方があります」と解説する。
 これまで電力一本で勝負してきた新電力業界とは異なる戦略を打ち出している同社だが、契約数は「順調に伸びている」(遠峰氏)とのこと。それだけに同社の展開において「壁」となっているのが新電力に対する誤解だ。
 「まだ新電力に対する誤解も根強くあり、契約を切り替えることによって『安定供給が損なわれるのではないか』といった不安の声も聞きます。当社としてもご案内のなかで『そのようなことはあり得ない』と丁寧に説明していければと考えています」(遠峰氏)
 今後は飲食ビルだけでなく不動産業界全体にも展開していくことを考えている同社。新電力に対してはビルオーナーからも「料金メリットが意外に小さく、現状は様子見」との声が大きいだけに、同社の取り組みにどれだけの反響が寄せられていくか、今後の新電力の拡大を占っていくうえでの試金石となる。

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