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三井不動産/青木茂建築工房 老朽化不動産の再生コンサル参入

2016.09.05 17:38

三井不動産グループでワンストップソリューション 新築同等に再生し、減災にも寄与
 三井不動産(東京都中央区)は先月30日、「リファイニング建築」を駆使する青木茂建築工房(東京都渋谷区)と業務提携し、旧耐震基準建物等の老朽化不動産の再生コンサルティングサービスを開始した。
 旧耐震基準建物等で競争力低下により事業継続が困難となった賃貸不動産オーナーにとっては、耐震補強を行っても賃料収入が上がらず、資金回収ができないという問題がある。これが老朽化した不動産の再生を妨げる大きな要因のひとつとされている。一方、同事業では築年数によらず賃料の改善を実現し、耐震化とともに資金回収ができる賃貸不動産への再生を目指す。三井不動産はグループ各社と連携した老朽化不動産の再生事業を本格的に進め、既に東京都練馬区、東京都大田区の2件の賃貸不動産再生案件が推進中だ。
 耐震化時の問題を解決すべく、事業全体のコーディネートから、事業推進の前段でネックとなる相続、権利関係等の調整、事業性能の検証といった不動産的問題の解決をサポート。その上で青木茂建築工房のリファイニング建築の手法を活用。新築工事の70%程度のコストで、居住者の眺望や外観を損なう耐震ブレースを使用しない独自の手法で耐震化し、外装・内装・設備等も新築同等の建物とする。さらに確認申請の再提出、検査済み証の取得など、法的にも新築同等の建物への再生を行うという。
 改修後の建物は賃貸事業の安定化を目的に三井不動産レジデンシャルリース(東京都新宿区)がサブリースを行い、長期融資の枠組みも活用でき、賃貸事業としての再生の可能性が高まる。また、耐震補強を含めた改修工事は三井不動産リフォーム(東京都新宿区)による施工も可能で、老朽化不動産の再生にあたって、三井不動産グループがワンストップでソリューションを提供する。

■リファイニング建築とは・・・
リファイニング建築(商標登録第4981412号)とは、青木茂建築工房の独自の建築手法。軽量化等、ブレース等に頼らない補強方法によって現行レベルまで耐震性を向上させ、既存躯体の約80%を再利用しながら建て替えの60~70%のコストで、大胆な意匠の転換や用途変更、設備一新を行う。法的な部分で単体規定については全て現行法に適合させることも大きな特徴。特に構造については調査、診断、補強を行った上で工事過程の全ての履歴の作成を行う。その結果、新たに確認申請書を提出し、竣工後に完了検査済証の交付を受けることができる。また、業務協定を行っている金融機関から一定の基準を満たせば長期融資を受けることが可能であるため、資金面の課題もクリアできる。

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