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三井不動産 産官学連携を促進させる社団法人設立

2016.06.13 17:35

日本橋でライフサイエンス両機の産業創造支援
 三井不動産(東京都中央区)が中心になって進めてきたライフサイエンス構想が明らかになった。「日本橋再生計画」のキーワードのひとつ「産業創造」を具現化するべく、一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(略称LINK―J)を設立。理事長には慶應義塾大学医学部長の岡野栄之氏、副理事長には大阪大学大学院医学系研究科長・医学部長の澤芳樹氏が就任し、運営諮問委員会には理化学研究所理事の松本洋一郎氏、京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥氏をはじめとする13名の識者が参画。米カリフォルニア大学サンディエゴ校やライフサイエンス団体のバイオコムとの提携も決定しており、海外との連携も強化する。医薬品企業が多数集積する日本橋エリアにおいて、ライフサイエンス領域におけるイノベーションを促進させるための支援活動を展開する。 
 3日に行われた記者説明会で、三井不動産の菰田正信社長は「健康長寿はこれからの超高齢化社会において人々のクオリティライフを高めると共に、増大する医療費を抑制する意味でも大変重要な課題であると認識している。ライフサイエンス領域の優れた研究成果をオープンイノベーションによって、実用化し、いち早く多くの人々に届けることが必要不可欠であり、当社の重要な役割だと考えている」と説明。日本橋に3カ所のライフサイエンス推進拠点を整備し、すでに国内外からライフサイエンス関係の大学、団体、企業等の関係者が入居している。LINK―Jには産官学関係者が交流・連携を深めるエンジンとしての役割が期待されている。
 新たに整備されたライフサイエンス拠点として、昭和通りに面した「日本橋ライフサイエンスビルディング」は産官学の多彩なプレイヤーが集結。東京大学、京都大学、大阪大学、東北大学に加えて、カリフォルニア大学サンディエゴ校、業界団体、事業会社、さらに東京都医産学連携・医療機器開発支援センター(仮称)や知財サポートのファーム等が入居している。「日本橋ライフサイエンスハブ」は「コレド室町3」8階ワンフロアに開設し、最大210名収容のカンファレンスルーム、日本医療研究開発機構の創薬支援戦略部東日本統括部が入居。「日本ライフサイエンスビルディング2」はベンチャーオフィスとして将来有望なライフサイエンス企業の入居を進める。これら拠点の交流スペースでは1年間だけで、入居者やイノベーターによる100を超えるシンポジウムやビジネス創造のためのプレゼン、ワークショップ等が開催された。LINK―Jはこれらの拠点を通じて、産官学の交流連携、ベンチャー企業の育成・支援を行う。
 ビジネス環境が揃った日本橋エリアにおいてライフサイエンス領域に関わる様々な人材が集い、そこに情報、資金による繋がる「リンク」を生み出していく。今後の動向に注目したい。

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