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三菱地所 大手町に最高レベルの「防災拠点ビル」

2016.05.02 17:11

「大手町フィナンシャルシティ グランキューブ」はほぼ満床で竣工
 三菱地所(東京都千代田区)が開発を進めてきた大手町連鎖型都市再生プロジェクト第3次事業「大手町フィナンシャルシティ グランキューブ・宿泊施設棟」が先月1日に竣工。27日に竣工式ならびにマスコミ向けに事業説明会を実施した。
 地上31階地下4階、最高高さ約170m、延床面積約19万3600㎡を誇るオフィス棟(グランキューブ)と高級日本旅館「星のや東京」(宿泊施設棟)の2棟で構成。ワンフロアあたりの賃貸面積は約1300坪と大手町地区で最大規模。三菱地所の代表取締役専務執行役員を務める合場直人氏は事業説明会で「ビルの防災機能はこれまで開発してきた新ビルに比べても非常に高い性能を有する」と自信を見せる。東日本大震災が発生した頃にプランニングされたため「防災拠点」と呼ぶにふさわしいハイレベルなBCP対応機能を付与した。災害時には中圧ガスによるコージェネレーションシステム、デュアルフューエル型発電機で電力供給を継続。敷地内に井戸を採掘し、災害時には高度ろ過設備で井水を飲用可能なレベルまでろ過できる。地下4階にある都心浄化設備によってビル内の汚水を浄化し、災害時でもトイレの利用を可能にした。また、周辺エリアの防災拠点として、オフィスロビーや宿泊施設棟等が帰宅困難者に対する一時滞在施設として機能する他、隣接する「大手町フィナンシャルシティ サウスタワー」に入居する国際医療サービス施設「聖路加メディローカス」、「アイン薬局大手町店」と連携して救護活動を行うことを想定している。
 一方、3階部分には国内外の成長企業に執務空間を提供する「グローバルビジネスハブ東京」を開設。地上1階地下1階には飲食・物販店舗・フィットネスクラブ等、16店舗で構成される商業ゾーン、758台収容できる大規模機械式駐輪場等も備えている。
 広大なフロアプレート、高度なBCP機能を求める大手金融機関等に高く評価され、ほぼ満室稼働で竣工を迎えたという。入居企業として三菱UFJモルガン・スタンレー証券、ソニー生命、協和発酵キリン、野村総合研究所が名乗りを挙げており、競合物件が提示したと噂される賃料水準に比べても高い賃料で成約できたという。

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