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うるる 「空き家手帳」創刊 空き家問題に投じられた期待の一石

2016.04.18 12:20

~活用方法と実際の成功談を多数掲載~
 社会問題化している「空き家」問題に、期待の一石が投じられた。
 うるる(東京都中央区)は先月24日、フリーペーパー「空き家手帳」を創刊した。「空き家手帳」は冒頭で空き家がなぜ問題であるかを衛生上、治安上の問題、地域住民の不安感などの視点から解説。行政側の空き家問題解決に向けての取組みなどを紹介。その上で空き家活用を支援する士業者や事業者、実際に空き家を活用した所有者のインタビューを記載している。
 第1事業本部CGS開発部新規事業プランナーの星野有俊氏は空き家問題の現状について「メディアなどで取り上げられてきたものの、まだまだ所有者側が空き家について対策を検討しているケースは少ない」と指摘。その理由を「そもそも自分が『空き家所有者』だと考えていない、あるいは空き家を所有していて活用をしたいと考えているが、どのように活用すればいいのかについての情報が足りていないからでは」と話し、こう続けた。「今回の『空き家手帳』は空き家所有者をターゲットにしています。空き家がなぜ問題になるのかについて知識を持ってもらうとともに、空き家には多くの活用の方法があることを知ってもらうための内容となっています」
 これまでにも、事業者が空き家活用についての情報発信を進めてきたが、まだ目立った実績が出るには至っていない。情報が空き家所有者に直に届いてこなかったことが最大の要因だ。
 「『空き家手帳』の第1弾は世田谷区、大田区、豊島区にそれぞれ3000部をポスティングしました。第2号は城南エリアに5万部ほど配布する予定です。ことの成り行き次第で誰もが空き家の所有者となる可能性があります。多くの人に『空き家問題』について知ってもらいたいと思います」(星野氏)
 反響は非常に良好。市役所や金融機関からも冊子の提供を求める申し込みが後を絶たない。配布場所以外の地域からも問い合わせが来ているという。
 空き家所有者にこのフリーペーパーが届くことが「空き家問題」を「空き家活用時代」へと切り替えていく契機となりえよう。

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