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大林組 ICタグで資機材の搬入状況が分かる「楊重管理システム」を開発

2016.04.04 14:14

 大林組(東京都港区)は、ICタグを用いることで建設現場における資機材の搬入状況が一目で分かる「揚重管理システム」を開発した。
 建設工事においては、資機材の楊重や搬入を計画的に行うことが重要。特に高層ビルの建設工事ではエレベーターでの楊重階数が増えるためその実績を素早く把握し、楊重計画を常に最適なものへと見直しながら進めることが短工期で施工する重要なポイントなる。
 今回、大林組が開発した「楊重管理システム」は、建設作業員が携帯するICタグや機材などに取り付けたICタグをエレベーターに設置されたICタグリーダーで読み取ることで誰が、いつ、どの資機材を、どの階に楊重したかを自動的に記録する。資機材の楊重状況や機材の稼働状況をリアルタイムに把握できるので、施工の進捗に合わせて楊重する数量やタイミングを調整することが可能になる。大林組は高層ビルの建設工事に同システムを適用し、その効果を実証した。
 「楊重管理システム」の主な特長としてはまず資材の楊重計画の最適化ができる点にある。
 従来は、エレベーター操縦者などが楊重する資材名、数量、使用する会社名などを一度手書きで記録し、一日の作業を終えた後に現場事務所のパソコンへ入力することで実績を管理の上、必要に応じて翌日以降の楊重計画を見直していた。
 同システムではICタグから読み取った資材楊重のデータをエレベーターの搬器に設置されたパソコンに随時送信するため、その時点における実績をその場で確認することができる。また、エレベーターごとに楊重計画と実績との差異が即座に分かるため、いつでも楊重計画の最適化を図ることが可能となった。
 機材の台数や配置の最適化も大きな特徴としてある。機材(高所作業車)については、ICタグと加速度センサーを併用している。各階の台数に加え、加速度情報から個別の稼働状況も正確に把握できるので、施工の進捗に合わせて台数を見直し、最適に配置することが可能となる。
 これまでは、大林組の職員などが定期的に見回ることで稼働状況を確認していたが、同システムの導入により稼働率の低い機材を早期に把握し、配置変更やリース会社への返却を迅速に進められる。実証実験では、高所作業車の延べ台数が16%、コストが18%削減できることを確認した。
 大林組は、同システムを活用することで建設工事のさらなる省力化・省人化を図るとともに同システムと「低床式AGV(無人搬送車)」との連携システムも視野に入れ、さらなる工期短縮につながる物流の自動化・効率化を積極的に推進していくという。

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