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<ビル業界女性活躍>エムシーエル 任売ビジネスで培った経験を「信頼獲得」に生かす

2016.02.29 17:05

 不動産業界に飛び込んだのは13年ほど前。不動産売買仲介事業を展開するエムシーエル(東京都千代田区)の神林美鶴社長の前職はバブル絶頂期に入社した大手旅行会社の海外渡航担当だった。旅行客への対応等に奔走した経験が不動産業界へ転身した際に役立った。当時では珍しい任意売却物件を積極的に扱う東京の中堅不動産会社だった。 「競売にかかった債務者のもとへ営業に行き、当社が任意で購入してから転売するビジネスで、不動産の知識よりも人生経験が物を言った」と神林社長は苦笑する。債務者のもとへ何度も訪問し、愚痴を聞いたり、怒りをなだめたり、少しずつ距離を縮めて信頼関係を構築する。社会経験の浅い20代では難しい仕事だ。電話で連絡が取れるケースは皆無で、そんな時は熱意をしたためた手紙を送る。「女性の営業は珍しい」との判断か、後日債務者から相談の電話がかかってきたことも少なくない。
 「宅建免許を取得する以前に債務者との交渉が不動産業界の第一歩だったので、面白かったです」(神林社長)
 独立したのは3年前。10年以上の不動産業界歴で人脈も整い、不動産売買仲介会社を立ち上げた。モットーは「信頼関係」だ。これまでの人脈を大切にしてきたことで不動産の売却を仲介してほしいとの依頼が絶えない。取り扱う案件は関東を中心に「希望があれば場所・アセットタイプは選ばない」(神林社長)。事業拡大よりも「信頼獲得」が当面の目標だ。

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