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<ビル業界助成制度最新動向>日本ERI 国交省の省エネ補助金の要件に「BELS取得」加わる

2015.07.13 10:10

 建築物の省エネ性能に特化した環境制度BELSの評価取得数が大幅に伸びそうだ。
 国土交通省の助成制度「第27年度既存建築物省エネ化推進事業」が7月30日まで公募を行っているが、補助要件に「BELS評価取得」を加えたのである。
 同補助制度は既存建築物を対象に省エネ改修工事を行うと工事費の3分の1(上限5000万円)の補助が受けられるというもの。補助額から勘案すると中小ビルを主な対象にしており、効率よく改修工事を行う上で申請件数が多い「人気」の補助制度である。実はこの補助制度は平成20年~平成26年まで実施されていた「省エネ改修推進事業」の後継的な位置づけだが、今回から公募要領に「改修後に建築物の省エネルギー性能を表示すること」が要件に付け加えられたのである。省エネ認証制度に詳しい指定確認検査機関の日本ERI(東京都港区)の高橋彰専門部長によると「従前までエネルギー消費量が15%以上削減される建築物の省エネ改修(および併せて実施するバリアフリー改修)が補助対象でしたが、その要件に加えて、今回から省エネ性能表示制度としてBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の第三者評価取得が必要になったのです」と説明する。無論BELS取得に関する費用も補助対象になるため、費用負担も軽減される。
 この補助要件追加に対応し、日本ERIではBELS評価取得に向けた評価業務について料金キャンペーンを実施。規定料金の30%を割り引きし、BELS評価取得の後押しをする。割引の条件として(1)交付申請期限の90日前まで申請を行うこと、(2)申請書類を同社が推奨する「BELS申請サポートセンター」が作成すること、(3)標準入力法・主要室入力法・モデル建物法・既存建築物評価法のいずれかを採用することを設定している。
 BELS以前から複数の環境認証制度は存在していたが、これほど大々的に補助制度の要件に組みこまれたのはおそらくBELSが初めてではないだろうか。平成29年から省エネ基準の適合義務化が開始される予定で、高橋氏は「省エネ基準適合義務化以降は省エネ基準に適合していない物件は既存不適格になり、不動産マーケットにおける評価が不利になる可能性が高くなる」と警鐘を鳴らす。☆☆以上のBELS取得物件は省エネ基準適合相当ということになり省エネ基準適合義務化以降は☆☆以上のBELS評価取得することの意味が大きくなる。国交省は、既存建築物の省エネルギー性能を客観的に評価して分かりやすく表示する制度としてのBELSの普及に本腰を入れたと見るべきだろう。

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