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ライナフ スマホで鍵を開け閉めできるキーシステム 空きスペースを有効活用

2015.03.09 11:24

「時間貸し」目的に不動産オーナーが自ら開発
 築年が経過し、空室を抱えるビルやマンションを有効活用するためには柔軟な対応が必要となる。注目を集めているのが「時間貸し」だが、課題となるのが「鍵の開け閉め」。自身も不動産オーナーであるライナフ(東京都港区)の代表取締役、滝沢潔氏は保有物件で時間貸しを行おうと検討したが、不特定多数が利用するため、最終的に鍵の管理をオーナーや管理会社が行わなければならず非常に手間がかかる。滝沢氏は「時間貸しの場合、所定の時間になれば入室でき、時間を過ぎると退室を促す。そしてスペースを使用したがどうかの履歴を残す。最低限この3点を満たせば無人運営が可能」だと考え、オーナーである滝沢氏自ら開発したのがスマート・ロック「Ninja Lock」だ。
 スマート・ロックとは玄関ドアに取り付けた鍵をスマートフォンから解錠するシステム。施工は非常に簡単。サムターンキーを覆うようにそのまま取り付けるだけ。従前のサムターンもそのまま使える。そしてスマートフォン画面からアプリを立ち上げ、使用したい鍵を選べば開閉画面が表示され、スライドすれば鍵が開閉できる。滝沢氏によると「招待者の携帯番号を登録し、時間を設定すれば、ユーザー権限を時間単位で貸すことができる」としている。また、現在は当該物件のドアの前で解錠操作をしなければならないが、室内に無線LANがあれば遠隔地のPCからも開閉ができるという。
 元々、滝沢氏は既存のスマート・ロックシステムの導入を検討していたが、既存建築物に設置できるシステムはほとんど存在せず、米メーカーの製品は多種多様な日本の鍵とサイズが合わず、作動状況が不安定だった。 一方「Ninja Lock」は3Dプリンターでアタッチメントを制作することであらゆる種類のサムターンキーに取りつけることが可能。振動センサーや省エネモードを搭載し、単三電池4本で約1年稼働する。
 今後は「Ninja Lock」を導入した施設専用の時間貸しサイトを立ち上げる予定。空室を貸したい・使いたいユーザーが同製品を取り付けて不動産の時間貸しの普及を目指す。
 「空室を多く抱える団地の場合、団地の住民だけが施設利用者として登録すれば、空いている部屋を住人が使えるようになる。会議場所にしてもいいし、住人の親族が泊まりにきた場合に宿泊施設として貸せる。また自治体で空き家を借り上げて市民限定で空き家を開放するという使い方も考えられる」(滝沢氏)
 空きスペースを時間貸しにして付加価値のある空間に生まれ変わらせる。多彩な使いみちも考えられ、未活用不動産の再生を実現できそうだ。

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