週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

日本土地建物 CRE事業で銀座一丁目に「高優賃」開発

2014.02.17 10:51

 東京屈指の商業地・銀座エリアに高齢者向け住宅の建設計画「(仮称)銀座一丁目計画」が進行中だ。
 同計画の事業コンサル、設計、施工を担当するのは大手デベロッパーの日本土地建物(東京都千代田区)。施主である銀座不動産(東京都中央区)から依頼を受けたCRE事業の一環なのだが、銀座というブランドのあるエリアに高齢者向け住宅を計画するのは非常に珍しく、今後の時代の流れを象徴するかのようだ。
 日本土地建物の山下慶博氏は、同計画の経緯を次のように話す。
 「元々、平成22年に銀座不動産の商業ビル『GINZA―2』のコンサル、設計、施工を担当し、竣工から4カ月で満室稼働という実績を残したことが評価され、銀座一丁目に所有されていた時間貸駐車場に対して提案依頼がありました」(山下氏)
 同社が提案したのは、東京都が助成制度を設けていた「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)」だった。元々、銀座不動産は地元・銀座で創業し、戦前は木箱製造業を行っており、地元貢献に繋がる有効活用を念頭に置いていた。さらに、日本土地建物のCRE事業の根幹として、オーナーの企業価値最大化を重視しており、双方の条件を最大限に満たすことができる建築計画として高優賃を提案することに至ったという。計画規模は地上13階、延床面積1413・13㎡、総戸数32戸。高優賃は平成23年に国の「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」制度が開始されたことで廃止されたが、東京都の一部の区では助成制度が存続していることは意外に知られていない。中央区によると「平成17年から始めた助成制度だが、平成26年1月時点で実績は2棟のみ」だそうだ。
 同計画ではこの「知られざる」助成制度を活用し、建築工事費の約12%に当たる約7200万円の助成が交付予定である。建築費高騰の影響を助成制度で吸収できた点は収益性を確立する上で大きな要素だ。また、提出資料の作成等に伴う計画策定費用200万円、さらに、入居者が月額最大4万円の家賃補助まで受けられる。
 「サ高住にも助成制度はありますが、家賃補助を受けられず、入居後の生活が困窮するケースも目立ち、リーズナブルに入居できる高優賃のほうが利用者の経済的負担が少なく、ニーズに合致していると判断しました」(山下氏)
 日本土地建物が高優賃を提案したのは今回で2例目。平成24年12月に竣工した1例目にあたる高優賃「こもれび神田紺屋町」はほぼ満室稼働と好調だ。同施設を見学した上でクライアントは安心して計画を進めることができたという。

PAGE TOPへ